シロイチモジヨトウの発生と被害対策の方法
こんにちはチーパパです。
厄介な害虫が確認されたとのことで情報を共有させていただきます。
北海道病害虫防除所の調査によると、長沼町・北斗市に設置されたフェロモントラップで、シロイチモジヨトウの誘殺数が昨年よりも多いことが確認されています。すでに道央のねぎほ場や十勝地方のてんさいほ場で幼虫被害が出ており、注意が必要です。
本記事では、シロイチモジヨトウの特徴と被害の見分け方、そして発生が予想される今後の対策についてまとめます。
シロイチモジヨトウとは?
シロイチモジヨトウは、ねぎ・キャベツ・うり科野菜・てんさいなど幅広い作物を加害する広食性の害虫です。国外でもてんさいの重要害虫として知られています。
- 成虫:体長約15mm、灰褐色で前翅に白~黄褐色の斑紋(不鮮明なことが多い)
- 卵:数十個が一塊となり、成虫の鱗毛で覆われる
- 幼虫:体長は最大30mm程度。個体差が大きいが、中齢以降は腹部側面に白い線が入るのが特徴(淡緑色から黒紺色まで様々だが、白い線が入るのは共通)
道内では低温に弱く越冬できないため、毎年南方から飛来すると考えられています。
(どうやって飛んでくんの?)

幼虫に白い線が見えるのが特徴。成虫は白い線はない感じ
ちなみに成虫で白い線が羽に見えるはおそらくシロオビノメイガ。
被害のようす
- 孵化した幼虫は葉裏から集団で食害し、葉が白変する
- 成長に伴い分散し、生長点付近の柔らかい葉を食害
- 表皮ごと食べ尽くされ、葉に穴が開く
- 老齢幼虫は日中、株元や土の下に隠れるため見つけにくい
被害が進むと、作物の生育が大きく阻害され、収量や品質が低下します。
見分けのポイント
- 卵塊:小さめ(3~5mm)、灰白色の鱗毛に覆われる。ハスモンヨトウと似ているが卵塊はやや小さい。
- 若齢幼虫の食害痕:葉裏から食べ、白変葉が現れる。
- 中齢幼虫:気門線の腹縁部が桃色に見える。
- 糞の存在:生長点付近の葉に黒色の糞があれば幼虫が潜んでいる可能性大。
- 老齢幼虫:株元や土中に隠れていることが多い。
今年の発生予測
札幌管区気象台の3か月予報によると、9月は平年より高温傾向。気温が高いとシロイチモジヨトウの活動が活発化するため、被害拡大に注意が必要です。
防除の方法(おすすめ農薬)
- 早期発見・観察
- 白変葉を見つけたら、若齢幼虫の加害を疑う
- 生長点付近の糞や食害痕をチェック
- 物理的対策
- 支柱やネットにも産卵するため、こまめに確認
- 株元を揺すって落下する幼虫を捕殺
- 薬剤防除
- 若齢幼虫期に散布するのが最も効果的
- 地域の防除暦や登録農薬を必ず確認して実施
下記成分は過去に感受性低下が確認されているので使用する際は注意。
カーバメート(RACコード:1A)、有機リン(同:1B)、ピレスロイド(同:3A)、ベンゾイル尿素(同:15)、最近では一部のジアミド剤(同:28)
※感受性低下が確認されている成分の農薬を赤く色付けしました。
※現場にて感受性低下の話を聞いたものは黄色く色付けしました。
まとめ
シロイチモジヨトウは、広範囲の作物に被害を与える厄介な害虫です。
- 若齢期の発見と早期防除が最重要
- 9月以降は気温上昇により活動が活発化する可能性大
- 被害を最小限に抑えるためには、定期的な観察と迅速な対応が欠かせません。
今年は例年以上の発生が予想されていますので、農家のみなさんは早めのチェックと対策を心がけてください。
やる事が増えて大変ですが、
美味しい作物を作りましょう!