プロ農家向け 有機カボチャ栽培の実践技術
どうもチーパパです。
最近暑いですよねぇ。
今回は暑い中でも生育旺盛!
有機カボチャの栽培について!
有機カボチャ栽培は、慣行栽培と異なり「施肥で効かせる」よりも「土を作り込む」ことが最大の課題です。ここではプロ農家が収益性を確保するために必要な、土づくり・施肥設計・作型管理を整理しました。
1.圃場条件と作型設計
圃場条件
- 排水性:雨後半日以内に水が引く圃場が理想。暗渠・心土破砕で改善。
- 土層:有効土層30cm以上。浅層では根の張り不足で果実肥大が不安定になる。
- pH:6.0〜6.5。酸度矯正にカキガラ石灰や苦土石灰を使用。
作型
- 普通栽培(5月定植 → 7〜8月収穫)が主流。
- 直売所・契約販売では 早熟(トンネル利用) や 抑制栽培(秋取り) で差別化も可能。
2.健苗育成
- 発芽適温:20〜30℃
- 定植適期:本葉4〜5枚、節間が締まった若苗
- 育苗培土は低チッソで、徒長防止。
- 接木苗を利用すると土壌病害回避に有効。
3.土つくり ― 有機栽培の勝敗を決める基盤
堆肥施用
- 草質堆肥:2〜5t/10a
- 牛糞堆肥:地力不足圃場で 10t/10a
- 施用時期:作付け 1か月以上前 にすき込み、未熟有機物障害を回避。
緑肥導入
- マルチムギ・エン麦をすき込み、土壌改良+雑草抑制+地力増進
- 冬期緑肥と組み合わせると連作障害対策にも有効。
4.施肥設計 ― 数字で管理する有機栽培
カボチャは「チッソ過多に弱く、リン酸・カリ要求が高い」作物。
基本比率:N:P:K = 1:2.5:1 を目安に。
元肥
- 鶏糞またはボカシ肥料で チッソ成分8〜10kg/10a
- 作条施用で効率的に利用。
- 石灰資材はカキガラ石灰・苦土石灰を利用し、pH 6.0〜6.5に。
追肥
- 果実肥大期(雌花着果後)に 有機質肥料20〜40kg/10a 追肥+中耕除草。
- つる先が止まりかけているかどうか を確認して判断。
注意点
- 肥沃すぎる → 「つるボケ」「雌花不着」
- 堆肥不足 → 土壌疲弊・病害発生
- カリ過剰 → マグネシウム欠乏を誘発
👉 定期的な 土壌診断 を行い、不足成分を補うことが安定生産の鍵。
5.定植と栽培管理
- 株数:400〜500株/10a が標準。疎植(350株程度)にすると果実品質安定。
- 定植:霜の心配がなくなってから。活着を促すため、根鉢は崩さずに植える。
- 初期管理:活着までの風害対策にホットキャップ・不織布利用。
6.病害虫・雑草管理(有機栽培の弱点対策)
- 雑草:つるが覆うまでが勝負。中耕除草+マルチ利用で労力削減。
- ウリハムシ:定植初期はベタがけ資材で物理防除。
- うどんこ病:樹勢維持と通風確保。有機JAS資材(硫黄剤など)を使用。
- 灰色かび病:密植を避け、過湿環境を回避。
7.収穫と販売戦略
- 収穫適期:開花後40〜50日、果梗部がコルク化した頃。
- 追熟:2〜3週間常温で貯蔵 → 甘み・粉質感が向上。
- 販売戦略:
- 直売所 → ミニカボチャ・多品種少量で差別化
- 契約販売 → 安定供給が求められるため、普通栽培中心
- 貯蔵販売 → 黒皮系で長期出荷し価格安定化
まとめ ― プロ農家が押さえるべき3つの要点
- 堆肥+緑肥で土を育て、施肥は必要最小限
- 追肥は「つる先の勢い」で判断し、過繁茂を避ける
- 作型と品種を組み合わせ、販売戦略に直結させる
有機カボチャは「土の質」で勝負が決まります。数年単位で土づくりに投資すれば、病害虫に強く、風味と品質で市場に評価されるカボチャを安定的に生産できます。
参考文献
・『野菜編 第5巻 カボチャ(基礎編−各作型での基本技術と生理)』基159〜169頁、自然農法国際研究開発センター 2024年)
・新 野菜つくりの実際 果菜II(ウリ科・イチゴ・オクラ) 』編者: 川城 英夫