沖積土って肥沃で素晴らしい?露地野菜で「外さない」現場判断

土壌
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人の力ではなかなかいじれない土質。

今回は土質の中でも沖積土について、

こんにちはチーパパです。

露地野菜は、同じ作物・同じ施肥量でも「土が違う」と結果が変わるんです。
中でも沖積土(ちゅうせきど)は、肥沃に見える一方で、土性(砂っぽい/粘っこい)や地下水位、層の重なり方で性格がブレやすい土なんです。

この記事では、沖積土の定義とでき方を押さえた上で、現場で判断しやすい「沖積土の特徴」と、特徴に合わせた施肥・土づくりの考え方を、露地野菜向けに整理します。

沖積土とは

沖積土は、川や氾濫原(低地)などで、砂・シルト・粘土といった堆積物(沖積層)が比較的新しい時代に積み重なってできた土壌の総称です。河川の運搬・堆積の影響を受けるため、同じ圃場でも土の層が変わる(層状になりやすい)のが特徴です。

だから同じ圃場でも性質が違うんですね。

「沖積土=一律に肥沃」ではない

沖積土は一般に平坦で耕地化しやすく、土壌としても養分が比較的豊かなケースが多いと言われます。しかし実際は、上流から何が運ばれてきたか(母材)と、どこに堆積したか(河岸の砂質・後背湿地の粘質など)で性質が大きく変わります。

沖積土はどうやってできた土なのか?

沖積土は「運ばれて、積もって、落ち着いた土」です。ポイントは3つあります。

  • 運搬:雨や融雪で増水した川が、上流の土砂を運ぶ
  • 堆積:流れが緩む場所(氾濫原、三角州、低地)で粒子が沈む
  • 繰り返し:洪水や流路変化を経て、砂→シルト→粘土などが層状に重なる

この「層の違い」が、排水性・保水性・根の張り・肥料の効き方のムラにつながります。沖積土で適した施肥をするコツは、まず土の層と水を読むことです。

沖積土の特徴(物理性・化学性・生物性)

1) 物理性:排水と通気が当たり外れを作る

沖積土は低地に分布しやすく、地下水位が近い圃場もあります。土性が細粒(粘質)だと排水が悪くなりやすい一方、砂質だと排水は良いが乾きやすく、肥料も流れやすい。つまり、沖積土は「水が多すぎる問題」「水も肥料も抜ける問題」かのどちらかに寄りがちです。

現場チェック

  • 雨の翌日でも長く水が引かない → 排水・透水がネック(粘質/踏圧/暗渠不足など)
  • 晴れるとすぐ白っぽく乾く、作物が早く萎れる → 砂質で保水・保肥が弱い
  • 掘ると20〜40cmで固い層(耕盤/締まり)がある → 根が止まり、肥料も水も滞る

2) 化学性:CEC(保肥力)が土性で激変する

沖積土は、細粒なら比較的肥沃でCEC(塩基を保持する力)も高めになりやすい一方、中粗粒(砂・礫が多い)ではCECが低く、施肥した養分が保持されにくくなります。つまり沖積土は、同じ「沖積土」という名前でも保肥力が高い圃場と低い圃場が混在しやすい土です。

現場的に起きやすいこと

  • 砂質寄り:窒素・カリが効きやすいが、抜けやすい(追肥・分施が効く)
  • 粘質寄り:窒素は後から出てくるが、過剰や湿害で傷みやすい(量よりタイミングが重要)
  • リン酸・塩基(Ca/Mg/K)は、入れっぱなしで蓄積しやすい圃場もある

3) 生物性:有機物で土の扱いやすさが変わる

沖積土は耕地として使いやすい反面、踏圧・湿害・団粒の崩れで急に作りにくくなることがあります。堆肥などの有機物投入は、保水・通気・耕起性の改善に寄与しやすく、特に粘質寄りの沖積土では非常に効果的になります。

沖積土の施肥管理|露地野菜で外さない考え方

沖積土の施肥は、まず土性(砂〜粘土)水(排水/地下水位)で方針を分けると、現場の再現性が上がります。

大原則:土壌診断を使って施肥量を決める

露地野菜は、リン酸やカリが土に蓄積しやすい圃場が珍しくありません。見た目や慣行だけで足すと、コストも上がり、塩類・養分バランスの悪化で逆に生育が乱れることもあります。pH、EC、可給態リン酸、交換性カリ、CECあたりは最低限押さえると、施肥のムダが減ります。

土壌分析で肥料必要な要素と、無駄な要素を確認。

1) 窒素(N):沖積土は「分施・追肥」で当てる

窒素は収量に直結する一方、流亡や脱窒でロスが出やすい成分です。沖積土は土性と水の影響が大きいので、最初にドカンと入れるより、基肥は控えめ→生育を見て追肥で合わせる方が事故りにくいです。

土性別のコツ

  • 砂質寄り:基肥控えめ+回数多めの追肥(抜けやすい前提で刻む)
  • 粘質寄り(排水弱い):湿害で根が弱ると窒素が効きづらい。まず排水・通気の確保、追肥は根が動くタイミングに行う

2) リン酸(P):まず「土にあるか」を見る

リン酸は施肥量に対して作物の吸収量が小さく、土壌に蓄積しやすい成分です。園芸系(露地野菜含む)は、過去の施肥で可給態リン酸が高い圃場も多いので、診断値が高いなら減肥・中止の判断が効きます。

実務の考え方

  • 土壌診断で可給態リン酸が高い → 基肥リン酸を思い切って少し削る
  • 低い圃場で根張りを確保したい → 作条施肥で効率を上げる

3) カリ(K):CECとセットで考える

カリは作物の品質やストレス耐性に関わりますが、沖積土ではCEC(保肥力)次第で土の扱い方が変わります。
砂質でCECが小さい場合は抜けやすく、粘質でCECが大きい場合は過剰になりやすい。
交換性カリの数値だけでなく、CECや塩基バランスも見ながら減肥を判断します。

4) 石灰・苦土(Ca/Mg):pHとバランスで入れ過ぎない

沖積土は中性寄りになりやすいケースもありますが、地域・母材で幅があります。露地野菜はpHが外れると微量要素の欠乏/過剰や根傷みが出やすいのでpHと塩基飽和度見て必要量を入れるが基本です。過剰に矯正すると、微量要素(特にMn、Bなど)が効きにくくなることがあります。

5) 微量要素:症状が出る前に「土性×pH×水」で当たりを付ける

沖積土は層や水の影響で、局所的に欠乏や過剰が出ます。
微量要素はお守り的に一律投入より、

  • pHが高め(中性〜アルカリ)で出やすい欠乏
  • 排水不良で根が弱って吸えない
  • 砂質で保持できず切れやすい

この3つの観点で原因を切り分け、必要なら葉面散布など即効策も併用すると現場対応が早くなります。

沖積土の土づくり(排水・有機物・耕盤対策)

1) 排水が弱い沖積土:まず「水を逃がす」設計

  • 明渠・暗渠の整備
  • 踏圧を減らす
  • 作土深の確保

2) 砂質寄り沖積土:有機物+分施で対応

  • 堆肥・緑肥で保水・保肥を底上げ
  • 窒素・カリは分施、必要なら緩効性も選択肢
  • 灌水できるなら、少量多回で根域を安定させる

3) 共通:堆肥は「入れた量」より「成分を差し引く」

堆肥にはN・P・Kが含まれます。堆肥由来の成分を見込まず化学肥料も同量入れると、リン酸やカリが積み上がっていきます。堆肥の種類で窒素肥効率も変わるので、継続年数も含めて見積もるのが現場的には安全です。

沖積土かどうか、現場での見極めポイント

  • 地形:川沿い、低地、氾濫原、扇状地、三角州などに多い
  • 断面:掘ると層が見える(色や粒感が変わる)ことがある
  • 水:地下水位が近い、雨後に水が残る、逆に砂質で乾きやすい
  • 作柄:同じ圃場内でムラが出る(層・排水・土性差が原因のことが多い)

まとめ|沖積土の施肥は「土性×水×診断」で勝てる

沖積土は、作りやすいポテンシャルがある一方で、土性の幅と層の影響で、
場所によってクセも強い土です。施肥で外さない順番はシンプルです。

  1. 水(排水・地下水位・耕盤)を先に整える
  2. 土壌診断(pH/EC/P/K/CEC)で「足す・減らす」を決める
  3. Nは分施・追肥で合わせ、P/Kは蓄積を前提にコストを削る

沖積土は慣行施肥のままでも、そこそこ収量が出てしまうことがあります。
だからこそ、診断でムダを削り、排水と根域を整えると伸びしろが出ます。露地野菜では、この差がそのまま利益差になります。

みんなで美味しい作物をつくりましょう!

参考文献

  • 農林水産省(MAFF)「土壌の基礎知識Ⅰ(施肥・土壌区分等の資料)」PDF:https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ntuti4.pdf
  • 農林水産省(MAFF)「農地土壌をめぐる事情(土づくり・土壌診断等)」PDF:https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/pdf/tuchi_kanren-18.pdf
  • (資料例)神奈川県「土壌診断基準」PDF:https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_14.pdf
  • AgriKnowledge(農研機構系)「肥料コスト低減技術マニュアル(Ver.1)」PDF:https://agrin.jp/documents/2946/manual.pdf
  • 新潟県「土づくりのすすめ方」PDF:https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/364513.pdf
  • WRB Documentation Centre(KU Leuven)「Fluvisols(講義ノート)」PDF:https://ees.kuleuven.be/soil-monoliths/wrb-documentation-centre/wrb-reference-soil-groups/FLUVISOLS-Lecture-notes.pdf
  • ScienceDirect Topics「Fluvisol overview」https://www.sciencedirect.com/topics/agricultural-and-biological-sciences/fluvisol

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