殺虫剤の系統(IRACグループ)を“人間に例えて”理解する:抵抗性回避は難しくない

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殺虫剤の系統(IRACグループ)を“人間に例えて”理解する:抵抗性回避は難しくない

1. なぜ「系統」を知らないと防除が崩れるのか

農薬を使った害虫防除に取り組む生産者の皆様、日々の作業お疲れ様です。

こんにちはチーパパです。

「ローテーション防除が大事だ」ということは、誰もが知っている基本中の基本です。しかし、「なぜローテーションが必要なのか」「どの薬剤とどの薬剤を組み合わせればいいのか」を、感覚でしか理解できていない方も多いのではないでしょうか。

もし、皆様が

「コレ効くから連投してぇな!」

という理由だけで、実は作用の仕組みが全く同じ薬剤を続けて使っていたとしたら、それは害虫に「抵抗性」という名の最強の鎧を与えているのと同じです。

この問題は難しい専門知識ではなく、系統(IRAC)をキャラクターとして理解することで一気に整理できます。


2. IRACとは何か(超簡潔に)

IRACコードとは、殺虫剤を「害虫への効き方(作用機構)」で分類した国際的な指標です。

IRACコード 意味
同じコード 効き方が同じ。連用すると抵抗性が発達しやすい
異なるコード 効き方が違う。ローテーションの基本

3. 系統別解説:人間に例えたキャラクター図鑑

① 有機リン系(IRAC 1B):昔ながらの職人

神経伝達を止める即効型。効きは鋭いが残効は短め。短時間集中型の職人。

有機リン系(IRAC 1B)の農薬
・アセフェート: オルトラン、ジェイエース、ジェネレート
プロチオホス: トクチオン
フェニトロチオン(MEP): スミチオン
ダイアジノン: ダイアジノン

② 合成ピレスロイド系(IRAC 3A):短距離ランナー

速効性は最強。ただし持続力はなく、使いすぎは抵抗性リスク大。

合成ピレスロイド系(IRAC 3A)の農薬
シフルトリン: バイスロイド
シペルメトリン: アグロスリンゲットアウト
テフルトリン: フォース(主に土壌処理で使用)
混合剤: ベジホン(ピレスロイド+有機リン系)、ビリーブ(ピレスロイド+IGR剤)

③ ネオニコチノイド系(IRAC 4A):忍者・スパイ

浸透移行性が高く、見えない場所の吸汁害虫に強い。

ネオニコチノイド系(IRAC 4A)の農薬
・クロチアニジン: ダントツ(水溶剤、粒剤、EXフロアブル)。
アセタミプリド: モスピラン(SL液剤、顆粒水溶剤)。
チアメトキサム: アクタラ(顆粒水和剤・水溶剤)、クルーザー(種子消毒剤)。

④ スピノシン系(IRAC 5):食事制限トレーナー

摂食を止めて弱らせる。食害を止めるスピードが武器。

スピノシン系(IRAC 5)の農薬
スピネトラム: ディアナSC、デリゲート
スピノサド: スピノエース(顆粒水和剤など)

⑤ IGR剤(IRAC 15・18):成長管理の先生

すぐには効かないが、次世代を断つ。残効が長い。

IGR剤(IRAC 15・18)の農薬
マッチ乳剤(成分:ルフェヌロン)
カスケード乳剤(成分:フルフェノクスロン)
カウンター乳剤(成分:ノバルロン)
ファルコンフロアブル / ランナー(成分:メトキシフェノジド)

⑥ ジアミド系(IRAC 28):ボディガード

速効性と残効性を両立する現代の主力。

ジアミド系(IRAC 28)の農薬
クロラントラニリプロール: プレバソンフロアブル5
シアントラニリプロール: ベネビアOD
フルベンジアミド: フェニックス顆粒水和剤

⑦ 新規系統(IRAC 30など):特殊部隊?ロボ?

既存薬剤が効かない害虫への最後の一手。

新規系統(IRAC 30など)の農薬

メタジアミド系(代表薬:ブロフレア)

イソオキサゾリン系(代表薬:グレーシア)

4. ローテーション防除の考え方

ローテーション防除の鉄則は「IRACコードを変えること」です。

  • 即効が必要 → 3A / 1B
  • 残効重視 → 28
  • 吸汁害虫 → 4A
  • 次世代対策 → 15・18
  • 抵抗性疑い → 30

5. まとめ

今回は覚えづらい農薬の系統を擬人化させて見ました。

殺虫剤はただ撒くものではなく、役割分担されたチーム考えていいと思います!

IRACコードを意識して使い分けることで、防除は「難しい理論」から「現場で使える技術」に変わります。

抵抗性回避は、知識より整理。
近年の高温に備えて作物を守りましょう!!

参考文献

IRAC 殺虫剤作用機構分類

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