玉ねぎ圃場の“最初の一手”は6月で決まる
アザミウマ・ハモグリバエ初動防除の考え方(北海道向け)
年の瀬。。来年の農薬をどうするか考える時期となりました。
こんにちはチーパパです。
今年の振り返りも含めて玉ねぎの殺虫剤について学んでいきたいと思います。
最初に農薬を玉ねぎの防除をする時期6月。。
6月の玉ねぎ、見た目はわりと平和ですが、
中身は普通に戦場となっています。
近年春の温度が高くなっており、虫の発生も早く、虫サイドはもう準備完了!!
この時期は〈ネギハモグリバエ(第1世代)〉と〈ネギアザミウマ(飛び込み開始)〉が重なるので、
最初の一回をテキトーにやると、7月にきっちり請求書が届きます。。
北海道だと流れはだいたい
ハモグリ:5月下旬〜
アザミウマ:6月上旬〜中旬
この順番となっています。
まずは害虫紹介!
と、激発はしていないが、
最初の防除に一応入れておく、、、そんな剤と6月のローテーションを紹介!
6月に本気で警戒する害虫はこの2つ
ネギアザミウマ(スリップス)

特徴
- 葉のすき間、特に芯側に入り込んで吸汁。
- 被害が進むと葉が銀白色っぽくカスれてツヤ消失。
見た目が悪い=光合成も落ちる。 - 4月、5月が高温・少雨だった場合一気に増える。6月後半に爆増年も普通にある。
厄介ポイント
- 北海道はピレスロイド抵抗性が出やすい。
「速効だから」で連打すると、虫の育成に全力投球するだけ。。

ネギハモグリバエ

特徴
- 成虫が葉を刺して吸汁・産卵。
幼虫は葉の中を潜って筋状の食害。 - 越冬世代のピークが5月下旬〜6月上旬に来やすい。
ここで密度を落とせるかが勝負。
厄介ポイント
- 葉の中に長居するタイプ。
当てるだけの薬だと普通にネギハモグリにスルーされる可能性あり。。
浸達性、ここ大事。
6月防除の基本設計
ここだけ守れば、だいたい崩れないです。
- 芯まで届く散布が最優先
玉ねぎは付着が命!
使用液量 100〜300L/10a が多いのは理由がある。 - 初回は密度が低いうちに
ハモグリ第1波、アザミウマ飛び込み直後。
ここで叩くと7月が平和になります。 - 同一系統の連用NG
特にピレスロイド。
抵抗性を増やすゲーム、虫しか得ない。
6月最初に使いたい殺虫剤の考え方
接触か、浸達か。そこを間違えない
ゲットアウトWDG
ピレスロイド系(シペルメトリン)
- タイプ:接触寄り・速効
- 向く場面
飛び込み直後で「まず数を落としたい」時。 - 注意
効きが落ちてる地域では期待しすぎない。
初回に使っても連続はしない。これ大事。
アグロスリン乳剤
ピレスロイド系(シペルメトリン)
- 中身の方向性はゲットアウトと同系統。
- 回数管理は“ピレスロイド枠”としてまとめて考える。
なんとなく使い分けると詰む。
ピレスロイド以外の“初動で頼れるやつ”
ディアナSC(スピノシン系)
- 接触+食毒でバランス型。
- ピレスロイドを避けたい年の初回ローテ要員として優秀。
リンク
リーフガード顆粒水和剤(ネライストキシン系)
- 接触+食毒+浸達性期待。
- ハモグリみたいな「葉の中勢」に強い場面あり。
ピレスロイドで外した経験あるなら候補。
グレーシア乳剤(フルキサメタミド)
- 別系統ローテの逃げ道。
- 登録は「鱗茎類」表記。玉ねぎはここに含まれる。
- 抵抗性が疑わしい圃場で助かる存在。
リンク
ベネビア(ジアミド系)
- 食わせて止めるのが得意。
- ローテの柱になりやすい。
登録は年・地域で動くので必ずラベル最終確認。
リンク
-
薬剤 系統(有効成分) IRACコード 使いどころ(要点) ディアナSC スピノシン系(スピネトラム) 5 接触+食毒でバランス型。ピレスロイドを避けたい年の初回ローテ要員として組み込みやすいです。 リーフガード顆粒水和剤 ネライストキシン系(チオシクラム) 14 接触+食毒に加え、浸達性が期待できるため、ハモグリのような「葉の中の害虫」に刺さる場面があります。ピレスロイドで外した経験がある場合の候補になります。 グレーシア乳剤 フルキサメタミド 30 既存剤と作用性が異なるため、別系統ローテの逃げ道として有用です。抵抗性が疑わしい圃場で助けになることがあります(登録は「鱗茎類」表記のため、適用作物はラベルで確認します)。 ベネビア ジアミド系(シアントラニリプロール) 28 「食べさせて止める」が得意で、ローテの柱になりやすい薬剤です。登録は年・地域で動くため、使用前にラベル最終確認を徹底します。
6月「最初の1回」組み立て例
- 近年ピレスロイドが効きにくい
→ ディアナ / リーフガード / グレーシアからスタート。 - 飛び込み直後で密度低め
→ ゲットアウト or アグロスリンで一度叩く。
次は必ず別系統。
実際最初はピレスロイド系でやり方か多いですかね
まとめ:6月の初動防除は「虫の数」ではなく「7月以降をどう楽にするか」で考える

6月の玉ねぎ圃場における防除は、
その時点で虫が多いか少ないかではなく、
7月以降の管理負担をどこまで軽くできるかで評価すべき工程です。
ネギハモグリバエは第1世代、
ネギアザミウマは飛び込み直後という、
どちらも密度がまだ低く、世代更新前のタイミングが6月です。
この段階で確実に個体数を落とせれば、心配事を少し減らせます。
そのため、6月防除で特に重要なのは次の3点です。
1つ目は、芯部まで薬剤を確実に届ける散布設計です。
玉ねぎは葉が立ち、害虫は葉の内側や芯部に潜むため、
散布量不足や角度の甘さは、そのまま防除失敗につながります。
使用液量100〜300L/10aという指示は、単なる形式ではなく、
「効かせるための最低条件」と考える必要があります。
2つ目は、初回防除での薬剤選択とローテーション意識です。
速効性だけを重視して同系統を連用すると、
一時的には効いたように見えても、
結果として抵抗性個体群を増やし、後半戦をより厳しくしてしまいます。
特にピレスロイド系は便利な反面、
地域によっては効きにくさが顕在化しているため、
初回に使う場合でも必ず次回は別系統へ切り替える前提で組み立てることが重要です。
3つ目は、「今の防除」ではなく「次の世代を出さない防除」という視点です。
6月に防除が成功すると、
・高温期の効きムラリスクを下げられる
・労力とコストの両方を抑えられる
といった効果が連鎖的に現れます。
6月の防除は目立ちません。
しかし、ここでの判断と作業精度が、
その年の玉ねぎ防除全体の難易度をほぼ決めてしまいます。
「とりあえず一回」ではなく、
近年猛暑ですので、「夏を楽にする」という意識で、
薬剤選択と散布設計を組み立てていただければと思います。
※農薬の使用にあたっては、作物・害虫・希釈倍率・使用回数・収穫前日数について、必ず最新の登録内容およびラベル表示をご確認ください。
――以上が、6月初動防除の考え方のまとめです。
ここを押さえておけば、少なくとも7月に振り回される確率は、確実に下がります。
皆さん近年の猛暑を乗り越えていきましょう!
参考文献・引用資料
- 北海道空知総合振興局
「野菜・花きの営農情報(5月中旬〜6月上旬の技術対策)」 - 北海道立総合研究機構(HRO)
「抵抗性ネギアザミウマのあたらしい防ぎ方」 - 北海道立総合研究機構(HRO) 病害虫発生予察情報
「病害虫発生予察情報 第5号(6月予報)」 - 農林水産省 農薬登録情報提供システム
アグロスリン乳剤 - 農林水産省 農薬登録情報提供システム
ディアナSC - 農林水産省 農薬登録情報提供システム
リーフガード顆粒水和剤 - 農林水産省 農薬登録情報提供システム
グレーシア乳剤 - アリスタ ライフサイエンス株式会社
「北海道におけるタマネギの主要害虫と防除(ネギアザミウマ)」 - JA全農・クミアイ化学工業株式会社
「アグロスリン乳剤 製品資料」


