「ケイ酸はイネに使うもの。玉ねぎにも意味があるのだろうか?」
分かるぅ〜その気持分かります。
こんにちはチーパパです。
玉ねぎへのケイ酸施用を考えるとき、気になるのは、
根張りや玉の肥大、そして収穫後の日持ちではなどではないでしょうか?
研究では、玉ねぎの根の構造に変化が見られたほか、特定の栽培条件で増収した報告もあります。
※ただし、根に変化が起きることと、畑で収量や貯蔵性が改善することは、分けて考える必要があります。 根の研究(Fleckら、2015)、収量・品質の研究(2025)
この記事では、玉ねぎで実際に確認された結果をもとに、
ケイ酸資材を使う意味と、施用前に確かめたい土壌の条件を整理します。
1.ケイ素をあまりためない玉ねぎにも、作用はある?
ケイ素は元素の名前で、植物は水に溶けたケイ酸の形で吸収します。ここでは、栽培資材については「ケイ酸」、植物体内の元素については「ケイ素」と呼び分けます。
玉ねぎは、イネのように地上部へケイ素を多く蓄積する作物ではありません。
それでも、ケイ素を与えたときに根が反応することはあります。
2015年の研究では、玉ねぎの根の外側、外皮を含む領域にケイ素が分布し、
外皮の「カスパリー線」の形成が促進されました。Fleckら、2015
2.ドイツの研究で確認された、玉ねぎの根の変化
水耕栽培で、ケイ素の有無を比較
ライプニッツ・ハノーファー大学とボン大学の研究グループは、
玉ねぎなどを使い、ケイ素を加えた培養液と、加えない培養液を比較しました。
玉ねぎは球から育て、培養液へ移して21日後に調査しています。
収穫期の球の大きさを比べた圃場試験ではありません。
根のバリア形成は進んだ。ただし、生育の評価には留保がある
ケイ素を与えた区では、根の外皮のカスパリー線形成が促進されました。
また、地上部と根の乾物重も増えました。乾物重とは、水分を除いた植物体の重さです。ただし著者らは、試験に使った球が均一ではなく、開始時の乾物量の違いが結果に影響した可能性を挙げています。根の伸長速度には差がありませんでした。
したがって、この試験から
「ケイ酸で玉ねぎの生育が確実によくなる」
「収穫する玉が大きくなる」とまでは言えません。
まず押さえたいのは、根の組織に変化が確認されたことです。
3.カスパリー線は、根の中への通り道を調整する仕組み
そもそもカスパリー線とはどんなものなのでしょうか?
根には、細胞の壁に沿って水や溶けた物質が移動する経路があります。
カスパリー線は、その経路を制限する帯状の構造です。
イメージとしては、物質が細胞の外側を素通りするのを抑える「仕切り」に近いものです。根全体を覆って、水を完全に遮断する膜ではありません。
研究者らは、ケイ素とフェノール性成分との相互作用が、カスパリー線形成に関係する仕組みを提案しています。
ただし、形成が進んだことから、養分吸収量の増加や、過湿・病害への耐性まで一括して証明されたわけではありません。Fleckら、2015
「バリアが発達は発達するのは確認されたから、その影響で養分をたくさん吸える!」
とはまだいえません。

また、この根の研究を根拠に、バリアが発達したからといって、
排水の悪い畑でもケイ酸を施せば根傷みを防げると考えるのは気が早すぎかもです。
根の構造の研究と、過湿条件での栽培試験は別に確認する必要があります。
4.玉は大きくなる?病気や貯蔵中の傷みには?
ブラジルの大学農場では、収量が増えた試験もある
ブラジル北東部のモソローにある、連邦半乾燥地域農科大学(UFERSA)の試験農場では、玉ねぎへのケイ酸資材の土壌施用を調べています。
2019~2020年に実施され、2025年に発表された研究です。
試験の概要は次のとおりです。
| 項目 | 試験の内容 |
|---|---|
| 栽培環境 | 高温で雨が少ない半乾燥地域。点滴灌水で栽培 |
| 土壌 | 砂質で、土壌中のケイ素含量が低い条件 |
| 玉ねぎの品種 | Rio das Antas |
| 使用資材 | 珪藻土由来の粒状資材「Agrisilica」 |
| 与え方 | 播種当日、種をまく前に畝の条間へ土壌施用 |
| 比較方法 | 無施用を含む5段階の施用量を、各4反復で比較 |
解析では、無施用に比べて販売可能な球の収量が最大約10%、総収量が約8%増える結果が示されました。この最大値は、施用量と収量の関係を表す曲線から推定したものです。
一方、球に含まれる糖やビタミンCなどの濃度は低下しました。
収量の増加と、成分面の品質向上が必ずしも一致しなかった点も大切です。
出典:UFERSA試験農場での玉ねぎ収量・品質試験〈2025年、原文は英語〉

北海道とは品種や気候、土壌、灌水条件が異なります。
玉ねぎで増収した研究例として参考になりますが、
紹介する商品でも同じ効果が得られることを示す試験ではありません。
塩分ストレスと、貯蔵中の品質を調べた研究もある
2022年の研究では、かん水する水の塩分濃度とケイ素施用量を変えて玉ねぎを育て、
収穫後60日まで品質を調べました。
ケイ素施用によって糖や可溶性固形分に改善が見られた一方、
球の硬さと重量減少については、ケイ素施用量の有意な効果が認められませんでした。
塩分・貯蔵品質の研究(2022)
「貯蔵中の成分に変化がある」ことと、
「腐りにくくなって長期間保存できる」ことは同じではありません。
また、塩分ストレスの結果を、そのまま乾燥や高温への効果があるとはえいないです
病害軽減の報告は、対象の病気と処理方法まで見る
玉ねぎの病害を直接調べた研究もあります。
Elshahawyらの研究では、黒腐菌核病を対象に、
ケイ素・ケイ酸塩処理による発病軽減が報告されています。
公開要旨によると、苗の浸漬や株元への処理を行い、
自然汚染圃場でも2年間検証しています。病害に関する研究(2021、公開要旨)
ただし、これは特定の病原菌と処理条件で得られた結果です。
ケイ酸資材を施したら絶対に防げるということではないです。
5.土壌との相性は?黒ボク土なら効果が高いのか
リン酸の利用性に関係する可能性はある
黒ボク土に含まれるアロフェンなどの成分は、リン酸を強く保持します。
ただし、その反応は単純に「リン酸が固定され、ケイ酸を入れると外れる」
という一方向の仕組みではありません。アロフェンのリン酸吸着に関する研究
ケイ酸カルシウムを添加した火山灰土の室内試験では、リン酸の保持特性が変わり、
加えたリン酸の利用性が高まる可能性が示されています。
一方、この試験は土壌重量に対して2.5%、5%という添加条件で、
玉ねぎの圃場試験ではありません。Hartono、2008
別の酸性土壌を比較した研究でも、ケイ酸質資材への反応は土壌によって異なりました。Moncadaら、1991
このため、「黒ボク土だからケイ酸が効く」「ケイ酸を施せばリン酸肥料を減らせる」とは、土壌名だけでは判断できません。
資材を選ぶ前に、土の状態を確かめる
玉ねぎは酸性に弱い野菜です。ケイ酸資材を検討する場合も、まず土壌の酸度を確認することが出発点になります。JAグループ北海道の土づくり解説
施用を考える際には、次のように整理すると判断しやすくなります。
| 畑の状態 | 施用前に確かめたいこと |
|---|---|
| 酸性が強い | 酸性矯正が必要か。ケイカルを使う場合、ほかの石灰資材と合わせて過剰にならないか |
| pHがすでに適正、または高い | 資材のアルカリ分と、さらにpHを上げる必要があるか |
| 黒ボク土でリン酸が気になる | 有効態リン酸の分析値と、これまでの施肥履歴 |
| 砂質土で乾きやすい | かん水・保水管理に問題がないか。研究の条件と自分の畑がどこまで近いか |
| 水が停滞する | 排水の問題を先に調べ、ケイ酸だけで解決しようとしていない |

土壌診断で酸性矯正が必要と分かったら、ケイ酸補給も兼ねられるケイカルが選択肢になります。ほかの石灰資材との重複を確認しながら、成分と容量を比較してみましょう。
6.ケイ酸の効果と、一緒に入る成分の効果を分ける
ケイ酸資材を比べるときは、ケイ素以外の成分にも目を向けましょう。
例えば、ケイカルは酸性矯正にも関わる資材です。酸性の畑で生育が改善しても、ケイ素そのものに加え、pHの変化やカルシウム供給が影響した可能性があります。
農林水産省掲載の施肥基準資料
研究で増収した珪藻土由来資材にも、
カルシウムやマグネシウムなどが含まれていました。試験資材の組成
そのため、試験結果を読むときは、次の4点を確認します。
- 何という資材を、どれだけ使ったか
- ケイ素以外に、どんな成分が入っているか
- 無施用区と、ほかの養分やpH条件がそろっているか
- 土壌施用・葉面散布・苗の浸漬のどの方法か
「ケイ酸入り資材でよい結果が出た」という情報と、
「ケイ素だけの効果が確かめられた」という情報は、区別して読む必要があります。
7.ケイ酸資材を選ぶなら|使い方と成分で比較
生育中に使う液体資材を検討する場合は、
施用方法と、ケイ酸以外の配合成分を確認しましょう。
ちなみに、この記事で紹介した玉ねぎの根の研究は、
根を浸す培養液にケイ素を加えた試験です。
以下の商品や葉面散布によって、同じ結果が得られることを示したものではありません。
ケイ酸とカリの両方を補給したい方へ|KSK28
まとめ|根の変化は確認されている。畑での価値は収穫まで見て判断する
玉ねぎはケイ素を多く蓄積する作物ではありませんが、
根の構造に変化が見られた研究はありました。
又、条件によっては増収や特定の病害軽減の報告もあります。
一方、品質の指標がすべて改善するわけではなく、
貯蔵中の硬さや重量減少に明確な効果がなかった試験もあります。
ケイ酸施用を考えるときは、土壌との相性、資材に含まれる成分、施用方法を確認し、
収穫量や保存中の状態まで比較することが大切です。
「根に変化がある」の観点から乾燥に対して効果がある、病気から強くなるなどの研究が更に進む事を期待したいですね。
皆さんで美味しい作物を作りましょう!
