そうか病・シストに悩んだら読む話。「ぽろしり」は救世主か

イモ
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【そうか病・シストに悩んだら読む話。「ぽろしり」は救世主か 】

こんにちはチーパパです。
今回は質問頂いた、加工馬鈴薯の品種の「ぽろしり」について。

「ぽろしり」徹底解説!主力品種「トヨシロ」との違いとは?

ポテトチップス。
皆様普通に食べてるけど、原料のばれいしょはずっと綱渡り状態。。
需要は増える。。畑は病気まみれ。。主力品種は弱点だらけ。。
はい詰みっ。。。皆様ポテチ食べれない。。。
…って流れをどうにかしようとして生まれたのが、新品種「ぽろしり(CP07)です。

2015年に北海道優良品種として登録。
狙いはシンプル。「トヨシロが無理な畑でも、ちゃんと作れる加工用品種を」。

今回は、この「ぽろしり」が

  • なぜ必要だったのか
  • トヨシロと何が違うのか
  • どこで油断すると痛い目を見るのか

このへんを淡々と、でも現場目線で解説します。


1. 「ぽろしり」開発のミッション:土壌病害虫をどうにかする

まず前提として、
トヨシロは優秀!だが病気に弱すぎる。。

特に問題なのがこの2つ。

  • ジャガイモシストセンチュウ
  • そうか病

どっちも

  • 収量を削る
  • 見た目を壊す
  • 結果、単価を落とす

という三重苦。しかも発生地域は拡大中。
正直、気合や防除だけでどうにかなる段階はもう過ぎてる。

そこで登場したのが「ぽろしり」。
2003年に人工交配で育成され、シスト+そうか病の両方に抵抗性を持つ加工用品種として完成しました。

つまり、

「病気が出る畑でも、最初から負けない設計」

これが最大の存在意義です!


2. 生育・形態の違い:見た目は似てるけど中身が違う

ぱっと見、ぽろしりとトヨシロはそんなに違いはないです。
でも、細かく見ると差がある!!

熟期

  • ぽろしり:中生(枯凋期が約7日遅い)
  • トヨシロ:中早生

→ ぽろしりはちょい長く畑にいるタイプ。

茎・草姿

  • ぽろしり:茎はやや短め、太くてアントシアニン着色が強い
  • トヨシロ:やや長め

草姿はどちらもやや直立型。
管理のクセはそこまで変わらない。

塊茎の特徴

  • 形:どちらも卵形
  • 目の深さ
    • ぽろしり:かなり浅い
    • トヨシロ:やや深い

これ、加工現場では地味に評価高い。
皮むきロスが減るから。

収量

  • 規格品収量
    • ぽろしり:トヨシロ比109〜112%
    • トヨシロ:基準(100%)

「病気に強いだけ」じゃなくて、ちゃんと取れる。
ここ大事ですね!


3. 品質・加工適性:完璧じゃない。でも使える

加工用ばれいしょで避けて通れないのが品質。

でん粉価・比重

  • ぽろしり:平均 15.7%
  • トヨシロ:平均 16.0%

若干、ぽろしりの方が低め。
「数字だけ見て切る」ほどではないけど、管理は必要。

内部障害

  • 中心空洞:ぽろしりは少ない(評価「無」が多い)
  • 褐色心腐れ:トヨシロ並み〜やや少

ここは普通に優秀。

加工適性と貯蔵

  • 収穫直後のチップカラー:トヨシロ並み
  • 長期貯蔵
    • 還元糖が増えやすく
    • チップカラーが落ちる

なので、ポテチ原料として使えるのは1月頃までが目安。

長期貯蔵前提のローテだと、そこは割り切り必要。


4. 安定生産に効く。でも栽培は油断禁止

最大の強み

  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性:
  • そうか病抵抗性:やや強

これだけで、作付け可能な圃場が一気に広がります。
トヨシロが無理だった畑で使えるのは、現場的にかなりデカい!

注意点① 疫病・夏疫病に弱い

  • 疫病抵抗性:弱
  • 夏疫病にもトヨシロより罹病しやすい

塊茎腐敗に効く薬剤選定+防除徹底は必須
「病気に強い品種だから大丈夫」は完全に死亡フラグ。。
特に近年の早い時期での高温は、夏疫病が出やすい環境ですので、
ゴリゴリの防除が必要ですね。

注意点② 完熟塊茎をちゃんと作る

  • でん粉価低下を防ぐために
    • 早植え
    • 浴光催芽
    • 基本技術をサボらない

新品種ほど、基礎を雑にすると性能出ない。これはガチです。


まとめ:ぽろしりは「条件付きで強い」次世代候補

「ぽろしり」は、
病害虫で詰んでた加工用ばれいしょ栽培に、現実的な選択肢を出した品種

  • 収量は多い
  • 内部障害は少ない
  • シスト・そうか病に強い

その代わり、

  • 疫病対策は必須
  • 長期貯蔵には向かない

万能ではないけど、ハマる圃場ではかなり仕事するタイプ。

品種比較まとめ

品種 最大の強み 最大の弱点
ぽろしり シスト・そうか病への抵抗性 疫病・夏疫病に弱い、長期貯蔵不向き
トヨシロ 加工適性・長期貯蔵性 シスト・そうか病に弱い

「トヨシロ一本」で粘る時代は、もう終わりかけ。
圃場条件を見て、使い分ける時代になりつつあります。
ぽろしりは、その選択肢のど真ん中にいる品種です。

みんなが大好きなポテトチップス、食べる時はその裏側も是非考えて見て下さい!

参考文献

本記事は、ばれいしょ(ジャガイモ)に関する以下の公的な研究報告および専門資料に基づいて作成されました。
1. ぽろしり(チップス用)—ジャガイモシストセンチュウとそうか病に抵抗性を持つ新品種—
    ◦ 津山睦生 (カルビーポテト株式会社)。『いも類振興情報』130号、2017年1月掲載。
    ◦ <内容> 新品種「ぽろしり」(CP07)の育成経緯、形態、収量、病害虫抵抗性、加工適性、および「トヨシロ」との比較について詳細に報告しています。
2. 線虫とそうか病に強い!加工用ばれいしょ「ぽろしり(CP07)」
    ◦ 道総研(北海道立総合研究機構)ほか。
    ◦ <内容> 「ぽろしり」(CP07)が「トヨシロ」の弱点であったジャガイモシストセンチュウおよびそうか病への抵抗性を兼ね備えていること、規格内いも重が優れること、そして栽培上の留意点について報告しています。
3. 高温化がジャガイモの生育と収量に及ぼす影響
    ◦ 津田昌吾(農研機構 北海道農業研究センター)。『いも類振興情報』162号、2025年1月掲載。
    ◦ <内容> 近年の北海道における気温上昇とジャガイモ収量の関係、収量低下の主な要因としての生育期間の短縮、高温条件で多発する夏疫病の現状、および高温がでん粉価や休眠期間に与える影響について分析しています。
4. 加工原料用ばれいしょ新品種「トヨシロ」について
    ◦ 坂口進 ほか。北海道農業試験場研究報告 116号、1976年11月掲載。
    ◦ <内容> 「トヨシロ」の育成、特性、および加工原料としての適合性について報告した原典です。
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