馬鈴薯そうか病 最新完全対策マニュアル
― 出てから嘆く人と、出さずに儲ける人の分かれ道 ―
馬鈴薯の病害の中で、
収量はあるのに、利益だけ消える病気がある。
それが、そうか病。
こんにちは、チーパパです。
腐らない。枯れない。
でも表皮が荒れた瞬間、市場評価は一気に下がる。
しかも厄介なのは、掘るまで分からないという点。
つまりこれ、
👉「気づいた時にはもう手遅れ」系の病気。
この記事では、
- そうか病の正体と、なぜ防除が難しいのか
- プロ農家が“実際にやっている”現実的な対策
- コストをかけるべき所・かけなくていい所
- 種いも消毒剤をどう位置づけるか
この辺を、
机上の理論じゃなく、利益ベースで解説します。
1. そうか病とは何か
正体は「土に住み着く放線菌」
馬鈴薯そうか病は、以下の放線菌が原因。
- Streptomyces scabies
- Streptomyces acidscabies
- Streptomyces turgidiscabies
分類は放線菌。
見た目はカビっぽいけど、性格はほぼ細菌。
しかもこいつら、
- 土壌中で長期生存
- 地上部に症状ほぼ無し
- 発生は塊茎のみ
- 適温18〜25℃
はい、もう嫌な予感しかしない。
つまり、
- 畑に最初からいる
- 植えた時点で勝負がほぼ決まる
- 葉に何撒いても意味がない
という、三重苦。
2. なぜ「防除できない」と言われるのか
理由は単純。
侵入口が、全部“地下”だから。
どんなに高い農薬でも、
上から撒いてイモには届かない。
初発でも、多発でも、
👉 地上散布で効く農薬は存在しない。
だから、そうか病は
「出てから考える病気」じゃない。
出る前に潰すしかない。
3. 考え方は、この3つだけ
難しそうに見えるけど、
戦略はこの3行で終わり。
- 持ち込まない
- 増やさない
- 発病させない
これ以外、正直ルート無い。
4. ① 持ち込まない
無病種いも+種いも消毒は“保険”
まず大前提。
- 病いもは使わない
- 種いも消毒は「治療」じゃない
👉 菌を畑に入れないための作業
ここ、勘違いされがち。
実際によくある失敗がこれ。
土壌消毒した畑に、未消毒の種いもを植えて大発生
土をどれだけ綺麗にしても、
種いもが汚染源だったら全部パー。
土と種いもは、必ずセット。
5. ② 増やさない
連作は「菌密度の積立貯金」
- 連作 → 菌密度が上がる
- 少発年 → たまたま条件が悪かっただけ
常発圃場で
「去年少なかったから大丈夫」は危険思想。
発生程度に応じて、
👉 土壌消毒で一度リセット
これが一番現実的。
6. 土壌消毒の現実解
クロールピクリンが基準になる理由
多発・常発圃場で、
今も安定しているのはクロールピクリン剤。
対応範囲が広い。
- そうか病
- 黒あざ病
- 青枯病
- 乾腐病
- ネコブセンチュウ
一気にまとめて叩ける。
ただし、
- 催涙性ガス
- 被覆必須
- 一斉処理NG
👉 効くけど、扱いはガチで慎重に。
しかも、
良い菌も全部いなくなる。
万能ではない。
7. pH管理は「効くが、単独では足りない」
そうか病は
土壌pH5.2以上で多発しやすい。
酸性肥料で調整は可能。
でも、
- 下げすぎると収量落ちる
- 品種差が大きい
目安として、
- イモの適正pHは6.0前後
品種傾向はざっくり。
- 弱:男爵薯、ニシユタカ
- 中:メークイン、アイノアカ
- 強:ユキラシャ、スノーマーチ、春あかり
👉 pH × 品種 × 事前対策
これがセット。
8. 農薬以外で、ちゃんと効くやつ
● 灌水
- いも肥大期の乾燥回避
- 特に秋作で効果出やすい
● 緑肥
- エンバク野生種
- ヘアリーベッチ
● 有機物
- 未熟堆肥 → 逆効果
- 米ヌカ → 使い方次第で神
実際に、
- 発生ほぼゼロ
- 3% → 1%まで低減
みたいな事例もある。
ただしこれ、
管理ミスると普通に事故る。
再現性は
👉 管理力依存。
9. 【ここ重要】
種いも消毒剤という「コスパ最強の保険」
最後に、ここが一番のマネタイズポイント。
モンカットプラスフロアブル
- フルトラニル(SDHI)
- フルジオキソニル(PP剤)
- 2成分で耐性リスク低い
使いどころ
- 種いも瞬間浸漬
- 200倍(200g/2L)
- 対象:そうか病・黒あざ病
ポイントはこれ。
👉 地上で効かない病気だから
👉 侵入前の「種いも段階」で叩く
しかも、
- 黒あざ病も同時防除
- 作業1回で済む
コストに対して、
回避できる損失がデカすぎる。
10. まとめ
そうか病は「出さない農家が勝つ」
- 発病後にできることは、ほぼ無い
- 判断はすべて植え付け前
- 土・種・pH・品種を切り離さない
そうか病は、
知識量より設計力が出る病害。
逆に言えば、
やることやれば
ちゃんと制御できる相手。
ここ落とすか守るかで、
同じ収量でも手取りが変わる。
利益を守るのも、技術です。
参考文献・参考資料
-
片山克己(1990)
「ばれいしょそうか病の発生生態と防除」
長崎県総合農林試験場 愛野馬鈴薯支場 -
田中文夫(2022 改訂)
「ばれいしょそうか病 防除技術の整理」
元 北海道立中央農業試験場 -
『現代農業』2025年11月号
「米ヌカでジャガイモのそうか病がほとんど出なくなった」
金光剛助(熊本県)
— 米ヌカ施用によるそうか病抑制事例202511_021
-
『現代農業』2024年6月号
「植え付け前の米ヌカ散布で発生減」
三浦 尚史(北海道音更町)
— 大規模畑作における発生率低減事例202406_059
-
農林水産省
「農作物病害虫発生予察情報・ばれいしょ病害」 -
日本植物病理学会
「Streptomyces属菌によるばれいしょそうか病に関する知見」 -
各農薬メーカー公表資料
モンカットプラスフロアブル 技術資料・適用表


