肥料をあげているのに、野菜の育ちがいまひとつ。
葉の色が薄くなったり、同じ畑でも一部分だけ育ちが悪かったりすると、
肥料が足りないのかなと考えますよね。
こんにちはチーパパです。
ただ、そんなときに確認したいのは、肥料の量だけではありません。
根が育つ土の状態も大切です。
その確認項目の一つが、土壌pHです。
土に養分があることと、植物がその養分を吸収できることは同じではありません。
土壌pHが作物に合わないと、養分を利用しにくくなったり、
根の生育が妨げられたりすることがあります。
今回は、家庭菜園で押さえておきたい土壌pHの基本と、野菜ごとの目安を紹介します。
肥料や石灰を追加する前に、自分の土を知るところから始めましょう。
土壌pHとは?土の酸性・アルカリ性を示す数値
土壌pHは、土の酸性・アルカリ性の程度を示す数値です。
ピーエイチ、またはペーハーと読みます。
一般に、pH7付近が中性で、それより低ければ酸性、高ければアルカリ性です。
例えば、pH5.5の土はpH6.5の土より酸性が強くなります。
pH6.5は比較的高い数値に見えるかもしれませんが、アルカリ性ではありません。
ここは、野菜づくりで混同しやすいところです。
pHが高めという話と、アルカリ性という話は区別して考えましょう。
また、pHは数字が1違うと、水素イオンの活量という酸性の強さに関係する量が10倍変わる尺度です。ただし、野菜への悪影響が10倍になるわけではありません。
影響は、作物の種類や土の性質によって異なります。
まずは、数字が低いほど酸性が強くなることと、野菜によって育ちやすい範囲が違うことを押さえれば十分です。

なぜ土壌pHが野菜の育ちに関係するのか
養分の吸収されやすさが変わる
植物は、根の周りの水に溶けた養分を吸収しています。
そのため、肥料成分が土に含まれていても、
吸収しにくい状態では十分に利用できません。
土壌pHは、こうした養分の状態に関係します。
例えば、酸性が強い土では、リン酸がアルミニウムや鉄と結び付き、
植物に利用されにくくなることがあります。
一方、pHが高くなると、鉄やマンガンなどを吸収しにくくなる場合があります
。養分によって、pHへの反応は異なります。
つまり、育ちが悪いからといって、肥料を増やすことが適切とは限りません。
(ついつい追肥したくなってしまいますが、、、)
土の状態が原因なら、追加した肥料を十分に利用できない可能性があります。
まず測定することは、必要な対策を選ぶために役立ちます。

根そのものの生育にも関係する
土壌pHの影響は、養分の吸収されやすさだけではありません。
酸性が強くなると、土の中のアルミニウムが溶け出し、
根の伸びを妨げることがあります。
根が十分に伸びなければ、水や養分を吸収できる範囲も限られます。日本植物生理学会
地上に見える葉や茎の不調が、土の中の根と関係している場合もあるのです。
ただし、根が傷む原因には、肥料の濃度が高すぎることや、
水はけの悪さなどもあります。根の傷みをまとめて根焼けと呼んでも、
その原因まで同じとは限りません。
pHが低すぎる・高すぎると何が起こる?
低すぎる場合は、根の伸びや養分の利用に影響する
作物にとって酸性が強すぎる土では、根の伸びが悪くなったり、
必要な養分を利用しにくくなったりすることがあります。
ただし、pH5.5ならすべての野菜が生育不良になる、というものではありません。
酸性への強さは作物によって違います。
同じpHでも、育てる野菜によって評価が変わることが、pH管理の大切なポイントです。
高すぎる場合は、微量要素の欠乏につながることも
鉄やマンガンは、植物が少量必要とする微量要素です。
これらは土に存在していても、pHが高い条件では吸収しにくくなり、欠乏症が出ることがあります。例えば道総研のトマトの資料では、土壌pHの上昇によるマンガンの利用しにくさと、葉の黄化などの症状が紹介されています。
地方独立行政法人 北海道立総合研究機構(道総研)
ただし、葉が黄色いという見た目だけで、高pHやマンガン欠乏と判断することはできません。
肥料不足、水分、根の傷み、病害なども確認が必要です。畑の一部分だけ調子が悪いときは、正常な場所と不調な場所の土を別々に調べると、違いを確認しやすくなります。
野菜ごとに適した土壌pHは違う
野菜づくりでは弱酸性の土がよいと聞くことがありますが、すべての野菜を同じ数値に合わせる必要はありません。
家庭菜園でよく育てる野菜について、
神奈川県の作物別施肥基準に掲載された好適生育範囲を紹介します。
| 野菜 | 好適pHの目安 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| トマト | 6.0~7.0 | 範囲内の一点に厳密に合わせる必要はありません |
| キュウリ | 6.0~6.5 | 水分や根の状態も併せて確認します |
| ナス | 6.0~6.5 | 生育不良を肥料不足だけで判断しません |
| ピーマン | 6.0~6.5 | 施肥量と土の状態を合わせて考えます |
| キャベツ | 6.0~7.0 | 病害対策の管理目標とは区別します |
| ホウレンソウ | 6.5~7.0 | 酸性に弱いため、作付け前の確認が大切です |
| ダイコン | 6.0~7.0 | 根の形には土の硬さなども関係します |
| ハクサイ | 6.0~6.5 | 同じ葉物でも適した範囲は異なります |
出典:神奈川県作物別施肥基準、資料編の作物別好適生育pH範囲。
神奈 川 県作 物別施 肥 基 準
この表は、土を使った栽培の参考値です。
養液栽培の培養液や、特定の培養土の管理値として、そのまま使うものではありません。
また、好適範囲は資料によって多少異なります。
地域の栽培指針があれば、そちらも確認しましょう。
pHの測定方法も確認しよう
土壌分析の結果には、pH(H₂O)やpH(KCl)という表記があります。
pH(H₂O)は水を、pH(KCl)は塩化カリウム溶液を用いて測定した値です。方法が異なるため、同じ土でも数値が一致するとは限りません。
栽培の目標値と測定結果を比べるときは、測定方法がそろっているか確認してください。 数値の差を一律に足し引きして、同じものとして扱うのは避けましょう。
ジャガイモそうか病とpHの関係
ジャガイモは、pHと病気の関係を考えるうえで知っておきたい作物です。
そうか病は、いもの表面にかさぶた状などの病斑ができる病気で、
対策の一つに土壌pHの管理があります。
道総研の資料では、畑の発生程度に応じて、pH調整、前作の選択、抵抗性品種などを組み合わせる方法が示されています。道総研
私も現場で、土壌pHが6.5程度の場所でそうか病が発生した事例を経験しています。
ただし、測定条件やほかの要因まで確認できていないため、その数値だけが発病原因だったとは言えません。
大切なのは、一般的に育ちやすいpHと、病害対策として設定する管理目標を区別することです。
家庭菜園で一律にpHを下げればよいわけではありません。発病歴や後に育てる野菜も踏まえて判断しましょう。
まずは自分の土のpHを測ってみよう

土壌pHは、土の色や手触りだけでは分かりません。確認するには測定が必要です。
主な方法には、次のものがあります。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 採取した土を使うpH計 | 決められた条件で土と水などを混ぜ、電極で測ります |
| 土に直接挿す土壌酸度計 | 対応する機器で土を直接測ります。水分などの測定条件を確認します |
| 試験紙・簡易診断キット | 説明書に従って土から抽出し、色の変化などで判定します |
| JA・専門機関の土壌分析 | pHに加え、必要に応じて養分なども調べます |
簡易診断キットの一例として、みどりくんNでは、土壌のpHと硝酸態窒素を測定できます。自分で行う簡易測定と、分析機関での詳しい診断を使い分ける方法もあります。
東京農大発(株)全国土の会
私も仕事で堀場製作所のpHメーターを使った経験がありますが、数値を見るときは、
測定方法や条件を確認することが大切です。
また、分析機関に依頼する場合も、調べられる項目や受付条件は異なります。
家庭菜園の土を受け付けているか、事前に確認すると安心です。
肥料や石灰を足す前に、土を知ることから
野菜を健康に育てるには、必要な養分があり、根が水や空気を利用できる環境を整えることが大切です。土壌pHは、その状態を考えるための基本項目です。
まずは、次の順番で確認してみてください。
- 育てている野菜の好適pHを調べる
- 自分の土のpHを測る
- 測定方法と結果を記録する
- 野菜の状態、水分、水はけ、これまでの施肥と照らし合わせる
pHが低かったからといって、すぐに石灰の量が決まるわけではありません。
必要な量は土の性質によって変わります。
また、肥料分の濃さを考えるには、電気伝導度という指標であるECなど、
別の情報も役立ちます。
育ちが悪いときこそ、何かを足す前に今の土を確かめる。
その一歩が、植物に合った管理を選ぶことにつながります。
皆さんで美味しい作物を作っていきましょう!
次の記事では、土壌pHの測り方と、酸度計・pH計・簡易診断キットの選び方を紹介します。
参考資料
- 神奈川県作物別施肥基準:作物別の好適生育pH範囲、土壌管理
- 日本植物生理学会:酸性土壌のアルミニウムについて:酸性条件でのアルミニウムと根の障害
- 道総研:トマトのマンガン欠乏:高pHとマンガン欠乏
- 道総研:馬鈴薯そうか病の総合対策:病害対策としてのpH管理
- 全国土の会:農大式簡易土壌診断キットみどりくん:簡易診断と専門分析の使い分け
