エタノールで高温対策!倍率など使用方法!!

農業
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酒飲みのおじ様達の理論

「俺は酒(アルコール)を飲んで消毒できてるから風引かないんだっ!!」

 

、、、、それ植物でもあながち間違いじゃないかもしれません。

 

こんにちはチーパパです。

今回は今時期から考える高温対策!!

家庭菜園でも畑でも、朝は元気だった作物が昼にはぐったりしている、
そんな場面が珍しくありませんよね。悲しい。

高温障害というと、遮光、換気、潅水あたりがまず思い浮かびますよね。

ただ、最近はそれだけでなく、

植物が暑さに備える力そのものを引き出せないかという研究も進んでいます。

その中で注目されているのが、意外にもエタノールです。

エタノール処理で植物の高温耐性が高まる可能性が、
シロイヌナズナ、レタス、トマトなどで報告されています。

熱くなる前から、暑い時期2週間おきに。。。
倍率は667倍。。。

とはいえ、ここで大事なのは、
すぐに現場で広く使える?かという事です。

この記事では、エタノールが植物の高温対策としてどこまで期待できるのかを、

論文ベースで整理しながら、

無水エタノールと消毒用エタノールの違い、倍率や使用時期の考え方まで、

できるだけ分かりやすくまとめます。

高温ストレスで植物に何が起こるのか

植物は動けません。

人間みたいに日陰に行く、

クーラーのガンガン効いた室内に行く、

などはできないので、
高温の影響をまともに受けます。

高温ストレスが続くと、まず生育が鈍ります。

葉が小さくなる、、

根の張りが弱くなる、、

花や果実のつき方が不安定になる。。

 

といった変化が起こりやすくなります。

 

さらに厄介なのが、収量と品質の両方に響くことです。

単に見た目が悪くなるだけではなく、収穫量が減ったり、商品価値が落ちたりします。

たとえばレタスでは、高温条件で結球がゆるくなったり、、

抽台しやすくなったり、、

葉先が傷むチップバーンが出やすくなります。。

これでは、せっかく育てても売り物として厳しくなりますし、

なによりテンション下がりますよね。。。

エタノールとは何か

エタノールは、化学式でいうと C2H5OH のアルコールです。消毒、食品、飲料、工業用途など、とにかく身近な物質です。

ただし、ここで誤解しやすいのが、

植物の研究で使われるエタノール濃度はかぁなり薄いということです。

高温耐性の研究では、シロイヌナズナやレタスに対しておおむね 0.12%程度の低濃度処理が使われています。

ちなみに霧吹きでやる場合。
500mLだと、入れるエタノール量が
500mLで消毒用エタノール 0.75mL

ちなみにプロ農家が使用する場合。
5000Lだと消毒用エタノール 7.5L

だからだいだい667倍

普段見かける消毒用エタノールは 70〜80%台が多いので、だいぶ違いますよね!
つまり、植物の高温対策として話題になっているエタノール処理は、
消毒みたいにそのまま使う話ではありません。

濃すぎれば生育障害のリスクがあります

エタノールで高温耐性が上がるという研究内容

シロイヌナズナでは生存率の向上が確認された

2022年の研究では、実験植物のシロイヌナズナに低濃度エタノールを前処理すると、

高温ストレスに対する耐性が高まることが示されました。

具体的には、低濃度エタノールで前処理した株のほうが、

高温処理後の生存率で優れた結果を示しています。

理研の発表でも、エタノール投与により高温ストレス耐性が強化されたと説明されています。

レタスでも高温条件下で生育改善が見られた

そしてレタス。

国内の解説情報では、
ポット植えの幼植物体に 0.12%程度のエタノール水溶液を3日間前処理し、
その後に圃場へ移植、
さらに2週間ごとに1株あたり100mLを与える条件で試験が行われています。

ビニールトンネルで温度を上げ、最大35〜40℃に達する条件の中で、

エタノール処理区のほうが生育や収量面で良い結果が見られたとされています。

ここで重要なのは、ただ暑い日に気休めでかけた、という話ではないことです。

高温の前に備える前処理として行われ、しかもその後も定期的に処理されています。
つまり、暑さに当たってから慌てるのではなく、植物側の備えを整える発想です。

トマトでも収量面の改善が報告されている

2024年には、

トマトでもエタノール処理によって高温ダメージが軽減され、

葉の生育や収量面で改善が見られたという報告が出ています。

前処理した苗が高温ストレスに対して耐性を示したとされています。

レタスだけの話ではなく、果菜類にも広がりが見えてきたのは面白い点です。

ただし、ここで勢い余って、どんな作物でもすぐ効く、とは書けません。

現時点では、条件を整えた研究で有望な結果が出ている段階です。作物、品種、処理濃度、処理タイミング、栽培条件が変われば、結果も変わる可能性があります。

なぜ高温に強くなるのか

エタノールで植物が暑さに強くなる理由として、

いま注目されているのが細胞の中のダメージを減らす仕組みです。

植物の細胞の中では、タンパク質という大事な部品がいつも作られています。
でも、高温になるとこの組み立てが乱れ、うまくできなかったタンパク質が増えてしまいます。

これが細胞にとって負担になります。

そこで植物は、細胞の中を立て直す仕組みを動かして、ダメージを減らそうとします。
研究では、エタノールを前もって与えることで、この仕組みが働きやすくなり、高温に耐えやすくなったと考えられています。

つまりエタノールは、葉を直接冷やすというより、

植物の中の暑さ対策を先回りして動かすようなイメージです。

ただし、この仕組みはまだ研究途中です。
どこまで、どう効いているのかは、今後さらに明らかになっていく段階です。

更に、高温だけではない エタノール研究の広がり

エタノール研究のおもしろいところは、暑さ対策だけの話ではないことです。

実はエタノールは、高温だけでなく、乾燥塩ストレスでも研究されています。

たとえば2022年の論文では、エタノールを処理することで、シロイヌナズナ、イネ、コムギで乾燥に強くなる可能性が報告されました。

この研究では、植物の水分が逃げにくくなったり、体の中に糖をためやすくなったり、乾燥時に働く植物ホルモンの仕組みが関わっていると考えられています。

ざっくり言うと、

エタノールによって植物が水を守る方向に体の反応を切り替えやすくなるイメージです。

さらに2017年の論文では、シロイヌナズナとイネで、塩ストレスへの耐性が高まったことも報告されています。

塩ストレスというのは、植物の中でダメージの原因になる物質が増えやすい状態ですが、この研究では、エタノール処理によってそうしたダメージが抑えられた可能性が示されています。

ここまでを見ると、エタノールは単に暑さだけに効くというより、
植物がストレスに対抗する力そのものを後押ししているかもしれない
という見方ができます。

つまり、高温、乾燥、塩ストレスのような別々の困りごとに対して、
植物の中にある共通の守る仕組みを引き出している可能性がある、ということです。

すごい!!
(詳しい仕組みは研究中との事だが、、、)

無水エタノールと消毒用エタノールの違い

ここは読者が一番迷いやすいところです。名前は似ていますが、無水エタノールと消毒用エタノールは、そのまま同じ感覚で扱うものではありません。

比較項目 無水エタノール 消毒用エタノール
濃度 ほぼ100%に近い高濃度 一般に70〜80%台
特徴 原液に近く、希釈前提で扱う 消毒用途として使いやすい濃度設計
そのまま植物に使えるか 使えません 使えません
希釈のしやすさ 濃度計算をきちんと行う必要がある 濃度表示が分かりやすく、初心者はイメージしやすい
初心者向きか やや上級者向き 比較的入りやすい
注意点 高濃度ゆえ誤使用のリスクが高い 製品ごとの添加物や仕様確認が必要

研究で使われている 0.12%前後という濃度を考えると、
どちらもそのまま植物に使う前提ではありません
特に無水エタノールは原液に近いので、希釈計算は大切です。

その点、家庭菜園で少量からイメージしたいなら、
濃度表示が分かりやすい消毒用エタノールのほうがやりやすそうです。
もちろん、消毒用エタノールにも製品差があり、添加物の有無や用途表示は確認が必要です。ここを飛ばして買ってしまうと、あとで面倒になります。

研究を読んで少量で試してみたい方は、
まず濃度表示が分かりやすい消毒用エタノールから確認してみると、
希釈のイメージを持ちやすいです。

使い方の考え方 倍率と使用時期

研究で使われたのは、おおむね 0.12%前後の低濃度です。
消毒用エタノール濃度80前後の製品を使うとしても、
そこからさらにかなり薄める必要があります。
(薄めないと生理障害がおこりますよ)

原液の種類 原液濃度 目安の目標濃度 希釈イメージ 注意点
無水エタノール 約99〜100% 約0.12% かなり大きく薄める必要がある 厳密な計量が必要
消毒用エタノール 約76.9〜80%前後 約0.12% こちらも大きく薄める必要がある 製品仕様を確認する

この表はあくまで研究事例を理解するための参考イメージです。
現場向けの厳密な推奨処方ではありません。
なんとなく濃ければ効きそうは危険です。

使用時期については、研究では高温に当たる前の前処理として使われています。
レタスでは3日間の前処理を行い、その後も2週間ごとに処理しています。
つまり、猛暑で弱ってから慌てて何かするというより、
暑さが来る前に備える考え方です。

人間でも熱中症寸前になってから水を飲むより、
前から備えておいたほうがいいですし、

酒飲みおじ様も、0次会からのんでいる方が軽快なトークが期待できます。

試すなら、、、

試してみたくなる気持ちは分かります。
ただ、いきなり全面導入するのはおすすめしません。

  • まずは小面積で比較区を作る
  • 濃度を上げない
  • 濃いアルコールを直接かけない
  • 暑さの直前を意識する
  • 結果を見ながら慎重に判断する

研究例では、主に底面吸水や灌水に近い処理が使われています。
葉面散布を完全否定する話ではありませんが、
倍率など使用方法は注意です。

無水エタノールは希釈管理に慣れている方向けなので、家庭菜園で少量から試すなら、消毒用エタノールのほうが濃度イメージを持ちやすい場合があります。

コスト感はどうか

プロ農家様換算にすると、、、
1回 約380円/反
安い殺虫剤くらいはしますね。。

注意点

  • 研究結果を全作物、全条件にそのまま当てはめない
  • 濃度を上げても効果が上がるとは限らない
  • 高濃度は生育障害のリスクがある
  • 焼酎やお酒での代用はおすすめしない
  • 食用作物では出荷先ルールや制度確認が必要
  • 農薬や登録資材のように誤解しない

特に、焼酎や酒類で代用できるかという疑問は出やすいのですが、
成分が単純ではなく、アルコール濃度も一定ではなく、糖分やほかの成分も含まれます。研究で使われているのは低濃度エタノール水溶液であって、
酒類そのものではありませんよ。

Q&A

無水エタノールと消毒用エタノールはどちらがいいですか

家庭菜園で少量からイメージしたいなら、濃度表示が分かりやすい消毒用エタノールのほうが入りやすいです。無水エタノールは高濃度なので、希釈計算をきちんとできる方向けです。

焼酎やお酒で代用してもいいですか

おすすめしません。研究で扱っているのはエタノール水溶液で、酒類そのものではありません。ほかの成分も入るため、同じようには考えないほうが安全です。

濃ければ効くのですか

そうは言えません。むしろ高濃度は逆効果のリスクがあります。研究で注目されているのは、ごく薄い濃度です。ここを逆に読むと失敗します。

葉面散布と灌水はどちらをイメージすればいいですか

高温耐性の研究例では、底面吸水や灌水に近い処理が中心です。
葉面散布を前提にした話として読むのは避けたほうが無難です。

家庭菜園でも使えますか

理屈としては少量試験は可能ですが、いきなり広く使うより、
小さい比較区で慎重に見るのが基本です。

本当に収量が上がるのですか

論文ではレタスやトマトで生育や収量面の改善が報告されています。
ただし、研究条件下での結果なので、どの作物でも同じとは言えません。

今すぐ現場導入してよいですか

全面導入を急ぐ段階ではありません。
まずは濃度と処理タイミングを理解し、小さく比較しながら判断するのが現実的です。

まとめ

エタノールは、植物の高温対策としてかなり試す価値ありかもです!
実際に、シロイヌナズナ、レタス、トマトなどで、
低濃度エタノール処理による高温耐性の向上が報告されています。

試すなら消毒用エタノールの方がいいかも。

そしてかなり濃度を薄めたほうがいい!!

皆さんで美味しい作物を食べましょう!!!

参考文献

  • Matsui A. et al. Ethanol induces heat tolerance in plants by stimulating unfolded protein response. Plant Molecular Biology. 2022.
  • Todaka D. et al. Application of ethanol alleviates heat damage to leaf growth and yield in tomato. Frontiers in Plant Science. 2024.
  • Bashir K. et al. Ethanol-Mediated Novel Survival Strategy against Drought Stress in Plants. Plant and Cell Physiology. 2022.
  • Nguyen H.M. et al. Ethanol Enhances High-Salinity Stress Tolerance by Detoxifying Reactive Oxygen Species in Arabidopsis thaliana and Rice. Frontiers in Plant Science. 2017.
  • 戸高大輔・関原明. エタノール投与が植物の高温耐性を高める. 土肥特集. 2023年10月.
  • 理化学研究所 環境資源科学研究センター関連発表資料.
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