【防除スキル図鑑】アセフェート 代表商品名オルトラン

防除スキル図鑑
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今回はホームセンターなどでもよく見かけるオルトラン!
家庭菜園でも農業現場でも名前を聞く機会が多い殺虫剤です。

しかし、オルトランという商品名は知っていても、有効成分がアセフェートであることや、IRACコードが1Bであることまで確認している人は、意外と少ないのではないでしょうか。

こんにちはチーパパです。

農薬を商品名だけで覚えていると、別の商品へ変更したつもりでも、有効成分や作用機構が同じだったということがあります。

そこで今回は、オルトランの有効成分であるアセフェートを、
防除スキル図鑑として紹介!

防除スキル図鑑では、

1B|有機リン系|神経暴走属性

として整理します。

スキル名は、虎の葉脈スプリント

実際に使用できる作物、対象害虫、使用量、使用時期、使用回数、使用方法は、製品ごとに異なります。

使用前には必ず、農林水産省の農薬登録情報提供システムと、手元にある製品の最新ラベルを確認してください。記事の内容と登録情報が異なる場合は、最新の登録情報と製品ラベルを優先します。

この記事のポイント

  • オルトランは商品名、アセフェートは有効成分名
  • アセフェートはIRACコード1Bの有機リン系
  • 害虫の神経伝達を終了させる酵素に作用する
  • 葉や根から作物体内へ入る浸透移行性を持つ
  • 粒剤と水和剤では、登録された使い方が異なる
  • 同じIRAC 1Bだけに偏らず、別系統とローテーションする

防除スキルカード アセフェート

カード名 アセフェート
スキル名 虎の葉脈スプリント
代表商品名 オルトラン
有効成分 アセフェート
IRACコード 1B
系統 有機リン系
ブログ内属性 神経暴走属性
スキルタイプ 古参トップランナー・浸透移行型
キャラクター 緑の葉脈ロードを走る半人型の虎ランナー
潜入力イメージ ★★★★★
編成時の注意 同じIRAC 1Bの連用を避け、別系統と組み合わせる
ラベル確認重要度 ★★★★★

このカードは、農薬の実際の性能や優劣を保証するものではありません。

星の数やキャラクター表現は、アセフェートの特徴や使用上の注意を覚えるための図鑑上の演出です。

オルトランのスキルコアはアセフェート

オルトランは商品名であり、アセフェートは殺虫効果を担う有効成分の名前です。

たとえば、オルトラン粒剤はアセフェートを5.0%含む粒剤、オルトラン水和剤はアセフェートを50.0%含む水和剤として登録されています。

同じオルトランの名前が付いていても、剤型や濃度、対象作物、対象害虫、使用量、使用時期、使用回数、使用方法は同じとは限りません。

さらに、オルトランの名称を含む製品の中には、アセフェート以外の成分を組み合わせた製品もあります。

そのため、売り場でオルトランと書かれていることだけを見て判断せず、容器や袋の表示から次の項目を確認することが重要です。

  • 製品の正式名称
  • 有効成分名
  • 有効成分の含有量
  • 剤型
  • 登録作物
  • 対象害虫
  • 使用方法

防除スキル図鑑では、商品名を装備名、有効成分をスキルコアとして考えます。

装備の名前が似ていても、中に入っているスキルコアまで同じとは限りません。

IRAC 1B 有機リン系 神経暴走属性

アセフェートは、IRACの作用機構分類でグループ1Bに分類される有機リン系殺虫成分です。

IRACとは、殺虫剤抵抗性対策委員会のことで、殺虫剤を害虫のどこに、どのように作用するかによって分類しています。

アセフェートの表示は、次のように整理できます。

IRAC 1B 有機リン系 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤

防除スキル図鑑では、これを覚えやすくするために、

1B|有機リン系|神経暴走属性

と表現します。

神経暴走属性は、農薬登録上の正式名称でも、IRACの公式属性名でもありません。あくまで、作用機構を記憶するためのブログ独自表現です。

アセフェートは害虫の神経にどう作用するのか

害虫の神経では、アセチルコリンという神経伝達物質が、神経から次の神経や筋肉へ興奮の信号を伝えています。

しかし、信号は伝えっぱなしでは困ります。

通常は、アセチルコリンエステラーゼという酵素がアセチルコリンを分解し、神経の興奮を終了させます。

アセフェートを含むIRAC 1Bの有機リン系殺虫剤は、このアセチルコリンエステラーゼを阻害する系統です。

  1. アセチルコリンが神経の興奮信号を伝える
  2. アセチルコリンエステラーゼが信号を終了させる
  3. アセフェートがアセチルコリンエステラーゼを阻害する
  4. アセチルコリンを正常に分解できなくなる
  5. 神経の興奮が続く方向へ作用する

つまり、アセフェートは神経に新しい命令を送り込むというより、神経信号を終了させるブレーキ役の酵素を働きにくくする成分です。

防除スキル図鑑では、この状態を神経暴走属性として表現しています。

ただし、実際の効果の現れ方は、害虫の種類、発育段階、処理方法、薬量、気象条件、薬剤感受性などによって変わります。

神経暴走属性だから即座にすべての害虫が倒れる、という意味ではありません。

虎の葉脈スプリント 50年級の古参トップランナー

アセフェートのキャラクターは、作物体内を走る半人型の虎ランナーです。

スキル名は、虎の葉脈スプリント

国内では、アセフェート粒剤の登録例が昭和48年までさかのぼります。そこで図鑑内では、長年使われてきた経験を持ちながら、現在も防除体系の一員として走る50年級のベテランとして描いています。

アセフェートの浸透移行性とは

アセフェートの大きな特徴の一つが、植物体内へ取り込まれて移動する浸透移行性です。

浸透移行性殺虫剤とは、葉や根から吸収された有効成分が植物体内を移行し、
植物を加害する害虫へ作用するタイプの殺虫剤です。

防除スキル図鑑では、虎のランナーが緑色の葉脈ロードへ入り、作物体内を走り抜ける姿として表現しています。

接触した部分を中心に作用する薬剤と比べ、植物体内へ成分が入る点が、アセフェートを理解する重要なポイントです。

葉から入るルート

水和剤などを葉や茎へ散布した場合、登録された使用方法の範囲で、有効成分が植物体へ取り込まれます。

ただし、散布後すぐにすべての成分が吸収されるわけではありません。

吸収の程度は、製剤、作物、葉の状態、散布量、温度、湿度、降雨までの時間などに左右されます。

根から入るルート

粒剤では、登録された方法に従って土壌、植穴、株元などへ処理し、根から吸収させる使い方があります。

ただし、オルトラン粒剤を土へまけば、どの作物でも使用できるわけではありません。

作物ごとに、処理場所、使用量、使用時期、使用回数が定められています。

浸透移行性があっても万能ではない

浸透移行性があるからといって、植物のすべての部分へ常に同じ濃度で移動するとは限りません。

根の活力、土壌水分、処理位置、作物の生育、剤型、使用量などによって、吸収や移動の程度は変わります。

また、作物体内へ入る前に強い雨を受けた場合などは、処理条件によって効果へ影響する可能性があります。

※雨の影響を受けにくいという特徴はありますが、
雨が降っても大丈夫と読み替えないことが重要です。

粒剤と散布剤は同じ使い方ではない

オルトランには、粒剤、水和剤など複数の製品があります。

剤型の例 主な使い方のイメージ 確認するポイント
粒剤 登録された方法で土壌、植穴、株元などへ処理 対象作物、使用量、処理位置、使用時期、使用回数
水和剤 水で希釈し、登録された方法で茎葉などへ散布 対象作物、対象害虫、希釈倍率、散布液量、使用時期、使用回数

粒剤と水和剤では、有効成分が同じアセフェートであっても、使用方法は別物です。

さらに、同じ作物であっても、剤型によって登録されている害虫や使用時期が異なる場合があります。

農薬を使用するときは、インターネット上の記事だけで判断せず、自分が実際に使用する製品の正式名称を確認してください。

農薬登録情報提供システムで検索するときも、オルトランだけで検索を終えず、オルトラン粒剤、オルトラン水和剤など、製品名まで照合する必要があります。

なぜアセフェートは長く使われてきたのか

アセフェートは、長期間にわたって防除現場で使われてきた殺虫成分です。

ただし、長く使われてきた理由を一つの特徴だけで説明することはできません。

ここでは、確認できる特徴と、そこから考えられる背景を分けて整理します。

浸透移行性を持つ

確認できる特徴:アセフェートは、根や葉から取り込まれ、植物体内を移行する性質を持つ殺虫成分です。

考えられる背景:土壌処理と茎葉散布という異なる処理方法に対応する製品があり、栽培場面に応じた使い分けができたことは、長く利用されてきた理由の一つと考えられます。

吸汁性害虫と食害性害虫に登録例がある

確認できる特徴:オルトラン製品には、登録された作物の範囲内で、アブラムシ類などの吸汁性害虫と、コナガやヨトウムシ類などの食害性害虫を対象とする登録例があります。

考えられる背景:異なる食害様式を持つ害虫への登録があることが、利用場面の広さにつながった可能性があります。

ただし、害虫全般へ使用できるという意味ではありません。実際の対象害虫は製品ラベルで確認してください。

比較的水に溶けやすい性質

確認できる特徴:アセフェートは水への溶解性が高い成分として整理されており、この性質が浸透移行性と関係しています。

考えられる背景:植物へ取り込まれやすい性質が、粒剤や散布剤としての利用につながったと考えられます。

比較的小さく単純な化学構造

アセフェートの化学構造について、比較的小さく単純であることが、長期使用の理由として語られる場合があります。

しかし、構造が単純だから害虫に分解されにくい、抵抗性が起こりにくいと断定することはできません。

害虫の薬剤抵抗性には、解毒酵素の活性化、作用点の変化、薬剤の取り込み低下など、複数の仕組みが関係します。

そのため、本記事では化学構造と長期使用の関係を、確立した事実ではなく、背景を考えるための仮説として扱います。

選択毒性を意識した開発の流れ

アセフェートは、先行する有機リン系殺虫剤が存在する中で開発された成分です。

ただし、選択毒性があるという説明を、そのまま人や環境に安全という意味へ置き換えることはできません。

有機リン系は昆虫だけでなく、人を含む動物にも共通するアセチルコリンエステラーゼへ作用するため、製品ラベルに記載された使用方法、防護具、保管方法、使用上の注意を守る必要があります。

異なる作用機構の薬剤が増えた

確認できる特徴:現在は、IRAC 1B以外にも、さまざまな作用機構を持つ殺虫剤があります。

考えられる背景:異なるIRACコードを持つ薬剤が増えたことで、アセフェートだけに頼らず、ローテーションへ組み込む選択肢が増えました。

これにより、古い成分を単独で使い続けるのではなく、防除体系の一員として位置付けやすくなったと考えられます。

アセフェートにも抵抗性管理が必要

有機リン系殺虫剤では、害虫の種類や地域によって、薬剤感受性の低下や抵抗性が問題になることがあります。

アセフェートも例外ではありません。

同じ作用機構の薬剤を繰り返し使用すると、その薬剤に耐えられる個体が生き残りやすくなります。

  1. 害虫の集団には、薬剤への感受性にばらつきがある
  2. 同じ系統を繰り返すと、感受性の高い個体が減る
  3. 耐えられる個体が生き残り、繁殖する
  4. 集団全体で薬剤が効きにくくなる可能性が高まる

これが、薬剤抵抗性が発達していく基本的な考え方です。

登録上の使用回数を守ることと、抵抗性管理のためにIRACコードを交代することは、同じように見えて別の確認事項です。

ラベル上の使用回数以内であっても、防除期間中にIRAC 1Bへ偏った使用を続ければ、抵抗性管理上は望ましくない場合があります。

商品名を変えるだけではローテーションにならない

抵抗性管理で重要なのは、商品名ではなく有効成分名とIRACコードを見ることです。

商品名が違っていても、同じアセフェートを含んでいたり、同じIRAC 1Bに分類される別成分だったりすることがあります。

その場合、商品を替えても、害虫から見れば同じ作用点への攻撃が続いている可能性があります。

薬剤を選ぶときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 有効成分名
  2. IRACコード
  3. 対象作物
  4. 対象害虫
  5. 使用時期
  6. 本剤の使用回数と成分の総使用回数
  7. 使用量または希釈倍率
  8. 使用方法

別系統へ替える場合も、対象害虫に登録があり、使用時期や使用回数を守れる製品を選ぶ必要があります。

IRACコードだけ違えば何でもよいわけではありません。農薬選びというものは、コードを一つ変えれば終了するほど親切には設計されていません。

防除スキル図鑑での評価

評価項目 図鑑内評価 評価の見方
対応幅イメージ ★★★★☆ 吸汁性害虫と食害性害虫に登録例がある
初動火力イメージ ★★★☆☆ 神経系へ作用するが、効果の出方は条件で変わる
持久力イメージ ★★★★☆ 植物体内へ取り込まれる性質を持つ
潜入力イメージ ★★★★★ 根や葉から取り込まれる浸透移行性を表現
編成注意度 ★★★★★ IRAC 1Bへの偏りを避ける必要がある
ラベル確認重要度 ★★★★★ 剤型や製品によって登録内容が異なる

この星評価は、実際の防除効果、残効期間、安全性、他剤との優劣を保証するものではありません。

作物、害虫、発生状況、気象条件、散布条件、地域の感受性などによって、実際の結果は変わります。

虎の葉脈スプリントの強み

  • 長期間使われてきた殺虫成分である
  • 葉や根から植物体内へ入る浸透移行性を持つ
  • 粒剤と水和剤など、異なる剤型がある
  • 害虫の神経伝達を終了させる酵素へ作用する
  • 登録範囲内で吸汁性害虫と食害性害虫を対象とする製品がある
  • 異なるIRACコードの薬剤と防除体系を組める

ただし、これらはアセフェートを含むすべての製品が、すべての作物や害虫へ同じように使えるという意味ではありません。

製品ごとの登録内容と、地域での感受性を踏まえて判断する必要があります。

虎の葉脈スプリントの弱点と注意点

  • 同じIRAC 1Bを繰り返すと、抵抗性選抜の圧力が高まりやすい
  • 感受性が低下した害虫個体群では、期待した効果が得られない可能性がある
  • 商品名が同じでも、剤型や登録内容が異なる
  • 浸透移行性があっても、吸収や移動は条件に左右される
  • 登録外の作物や害虫には使用できない
  • 使用量、使用時期、使用回数を自己判断で変更できない
  • 天敵、訪花昆虫、周辺環境への影響を考慮する必要がある

農薬の強みと注意点は、別々に存在しているわけではありません。

植物体内へ入る性質を持つからこそ、対象作物、使用時期、収穫前日数、使用回数などを正確に確認する必要があります。

まとめ 虎の葉脈スプリントは単独で走らせない

オルトランの有効成分は、アセフェートです。

アセフェートは、IRACコード1Bに分類される有機リン系殺虫成分で、アセチルコリンエステラーゼを阻害し、害虫の神経興奮を正常に終了できなくする方向へ作用します。

防除スキル図鑑では、この作用を神経暴走属性として整理しました。

そして、アセフェートの大きな特徴が、葉や根から植物体内へ入り込む浸透移行性です。

緑色の葉脈ロードを虎のランナーが走る、虎の葉脈スプリントとして覚えると、
接触主体の殺虫剤との違いをイメージしやすくなります。

一方で、長く使われてきた薬剤だからこそ、抵抗性管理は欠かせません。

  • 商品名だけでなく、有効成分名を見る
  • IRACコード1Bを確認する
  • 同じIRAC 1Bへ偏らない
  • 対象害虫に登録のある別系統とローテーションする
  • 剤型ごとの登録内容を確認する
  • 使用回数とアセフェートの総使用回数を守る
  • 天敵、訪花昆虫、周辺環境へ配慮する

虎の葉脈スプリントは、単独で何度も走らせる技ではありません。

別属性の仲間と防除編成を組み、作物と害虫を観察しながら、登録内容どおりに使う。

それが、50年級の古参トップランナーを、防除体系の中で長く活かすための基本です。

農薬使用時の注意

農薬の登録内容は変更される場合があります。

使用前には、農林水産省の農薬登録情報提供システムと、使用する製品の最新ラベルを必ず確認してください。

対象作物、対象害虫、使用量、希釈倍率、使用時期、収穫前日数、使用回数、総使用回数、使用方法、防護具を守って使用してください。

本記事と最新の登録情報または製品ラベルの内容が異なる場合は、登録情報と製品ラベルを優先してください。

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