玉ねぎが腐る前に注意 7月以降の軟腐病・りん片腐敗病とネギアザミウマ対策

玉葱
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「今年は昨年と違って雨も降って、生育順調っ!!」

ただ油断すると、、、、

こんにちはチーパパです。

7月以降から高温が続くと心配になるのが、
軟腐病やりん片腐敗病などの腐敗性病害ですよね?

特に今年は、昨年と違って雨があり、そこに7月以降の高温が重なることで、玉ねぎの腐敗リスクが高まりやすい条件になっています。

玉ねぎの腐敗というと、どうしても「病気が出たから殺菌剤」と考えがちですが、
実際には高温、降雨、過湿、傷口、虫害、
収穫後の乾燥不足などが重なって発生しやすくなります。

中でも見落としたくないのが、ネギアザミウマなどの虫害と腐敗の関係です。
葉の被害だから球には関係ない、と思ってしまうと、
あとで貯蔵中の腐敗につながることがあります。

この記事では、玉ねぎの軟腐病とりん片腐敗病の違い、ネギアザミウマと腐敗の関係、
7月以降に考えたい防除と管理のポイントを整理します。

今年の7月以降は玉ねぎの腐敗に注意したい

玉ねぎの腐敗性病害は、雨が降ったあとや高温が続く時期に注意が必要です。

特に7月以降は、玉ねぎの肥大が進み、倒伏や収穫も近づいてくる時期です。
この時期に高温、多湿、傷口、虫害が重なると、細菌性病害が入りやすくなります。

注意したい条件は、主に次のような場面です。

  • 雨が続いて圃場内の湿度が高い
  • 高温の日が続いている
  • 排水の悪い場所で水が停滞している
  • 葉や球に傷がある
  • ネギアザミウマなどの虫害が多い
  • 収穫前後に玉ねぎへ傷がついている
  • 収穫後の乾燥が不十分

昨年が少雨で腐敗が少なかった地域でも、今年も同じ感覚で見るのは少し危険です。
雨と高温がそろうと、玉ねぎの腐敗は一気に目立つことがあります。

軟腐病とは?玉ねぎの中が軟らかく腐る細菌性病害

軟腐病は、玉ねぎに発生する細菌性病害のひとつです。

まず心葉が軟らかくなり、その後、株全体が軟化して腐敗することがあります。

収穫時には外観で腐敗が目立たない場合もありますが、内部では軟化腐敗が進んでいることがあります。進行すると強い腐敗臭を出すこともあり、出荷や貯蔵で大きな問題になります。

軟腐病で見られやすい症状

  • 心葉が軟らかくなる
  • 株全体がしおれるように傷む
  • 球の内部が軟化する
  • 外観ではわかりにくい場合がある
  • 腐敗が進むと強い臭いが出る

軟腐病は、高温多湿、過湿、傷口、収穫時の打撲、排水不良などが重なるとリスクが高まります。

特に雨後に高温が続くような年は、圃場での発生だけでなく、収穫後の腐敗にも注意が必要です。

りん片腐敗病とは?玉ねぎのりん片が部分的に腐る病気

りん片腐敗病も、玉ねぎに発生する細菌性病害です。

軟腐病のように球全体がドロドロに軟化するというより、
玉ねぎのりん片1枚から数枚が黄褐色に腐敗するのが特徴です。

育苗中の剪葉した切り口から白色・水浸状の病斑が広がること、
貯蔵中には球全体ではなく、りん片の一部が黄褐色に腐敗すること確認されています。

りん片腐敗病で見られやすい症状

  • りん片の一部が黄褐色に腐敗する
  • 球全体が軟化腐敗するとは限らない
  • 外から見ただけではわかりにくいことがある
  • 貯蔵中に切ってみて気づく場合がある
  • 剪葉や傷口が感染のきっかけになる可能性がある

りん片腐敗病は、見た目だけでは判断しにくい病気です。外観がきれいに見えても、内部のりん片だけが傷んでいることがあります。

出荷後や貯蔵中に発覚すると、品質クレームにもつながりやすいため、圃場段階からの対策が重要です。

軟腐病とりん片腐敗病の違い

軟腐病とりん片腐敗病は、どちらも細菌性病害ですが、腐敗の見え方が違います。

項目 軟腐病 りん片腐敗病
病原のタイプ 細菌性病害 細菌性病害
主な症状 心葉や球内部が軟化し、腐敗が進む りん片1枚から数枚が黄褐色に腐敗する
腐敗の見え方 内部が軟らかくなり、進むと全体が傷む 球全体ではなく、一部のりん片が腐ることが多い
臭い 腐敗が進むと強い臭いが出やすい 軟腐病ほど強く目立たない場合もある
発生しやすい場面 高温多湿、過湿、傷、収穫時の打撲 傷口、剪葉、虫害、貯蔵中の腐敗
注意する場面 立毛中、収穫時、貯蔵中 育苗期、肥大期、収穫後、貯蔵中

ざっくり言うと、軟腐病は中が軟らかく腐って臭いも出やすい病気、
りん片腐敗病は玉ねぎのりん片が部分的に腐る病気として見ておくと整理しやすいです。

ただし、現場では症状が混ざって見えることもあります。外観だけで決めつけず、切断して内部を確認することも大切です。

なぜ今年は腐敗病害に注意が必要なのか

今年注意したい理由は、雨と高温が重なりやすいからです。

玉ねぎは高温に弱い作物です。そこに降雨や湿度の高さが加わると、
細菌性病害が進みやすい環境になります。

さらに、玉ねぎが肥大する時期には、葉や球に傷がつく場面も増えてきます。
傷口は、病原菌が侵入するきっかけになります。

特に次のような圃場では注意が必要です。

  • 低い場所で水がたまりやすい圃場
  • 風通しが悪く、湿度が抜けにくい圃場
  • ネギアザミウマの被害が目立つ圃場
  • 倒伏後に雨が続いた圃場
  • 収穫作業で傷がつきやすい圃場
  • 乾燥が不十分になりやすい貯蔵環境

昨年はあまり腐敗しなかったから今年も大丈夫、とは限りません。
雨があり、高温が来れば、条件は一気に変わります。

りん片腐敗病と虫害の関係 ネギアザミウマ防除も腐敗対策になる

玉ねぎの腐敗対策では、殺菌剤や細菌防除剤だけでなく、
ネギアザミウマなどの害虫防除も重要になります。

岩手県農業研究センターによると、
ネギアザミウマ防除によって、
りん茎の腐敗抑制と収量増加に大きく貢献したことが示されています。

2014年の試験では、殺虫剤散布区の腐敗球率が1.9%だったのに対し、
殺虫剤無散布区では6.3%でした。

2015年の試験では、殺虫剤散布区の腐敗球率が0%だったのに対し、無散布区では14.6%発生しています。さらに、無散布区の商品収量は散布区より44%低下したとされています。

この結果から、ネギアザミウマによる食害が腐敗症状を増加させた可能性があると考えられます。

葉の被害だから球には関係ない、は危ない

玉ねぎでは、葉は出荷部位ではありません。そのため、ネギアザミウマによるカスリ状の白斑被害が出ても、球に直接関係ないように見えてしまいます。

しかし、ネギアザミウマの食害痕が病原細菌の侵入口になる可能性が示されています。

つまり、葉の食害を放置すると、結果としてりん茎の腐敗につながる可能性があります。

玉ねぎの腐敗対策は、病気だけを見るのではなく、虫害もセットで見る必要があります。

対策1 ネギアザミウマなどの害虫防除をしっかり行う

りん片腐敗病や腐敗病を減らすためには、虫害を減らすことも重要です。

ネギアザミウマは、玉ねぎの心葉部に入り込みやすく、薬剤がかかりにくい害虫です。発生が進んでから慌てて防除しても、十分に抑えきれないことがあります。

特に6月から7月にかけて発生が増える地域では、圃場をよく観察し、
発生初期から防除を考えることが大切です。

ネギアザミウマ防除で意識したいこと

  • 葉のカスリ状被害を早めに確認する
  • 心葉部をよく見る
  • 発生初期から防除を考える
  • 同じ系統の薬剤を連用しない
  • 薬剤のローテーションを意識する
  • 薬液が心葉部に届くように散布する
  • 展着剤の使用可否も確認する

農家の場合は、地域の防除基準や発生予察情報を確認しながら、
適期防除を組み立てることが重要です。

家庭菜園の場合も、葉の表面が白っぽくカスリ状になっていないか、
中心部に小さな虫がいないかを確認しておきましょう。

対策2 軟腐病・りん片腐敗病向けの細菌性病害対策を考える

軟腐病やりん片腐敗病は、細菌性病害です。

そのため、一般的な糸状菌病害、いわゆるカビ系の病気を対象にした殺菌剤だけでは、
狙いがずれる場合があります。

細菌性病害対策では、銅剤やオキソリニック酸・ストレプトマイシン系など、
登録のある薬剤を確認する必要があります。

添付資料では、殺虫剤と細菌防除剤を組み合わせることで、
腐敗球率が低下する可能性が示されています。

2019年の試験では、無散布区の腐敗球率が12.5%だったのに対し、殺虫剤散布区では5.4%、殺虫剤と細菌防除剤2回散布区では1.3%、殺虫剤と細菌防除剤5回散布区では0.0%となっています。

この結果を見ると、腐敗対策は細菌防除剤だけではなく、
殺虫剤によるネギアザミウマ対策と組み合わせて考えることが重要だとわかります。

細菌防除剤だけに頼らない

注意したいのは、細菌防除剤を散布すればそれで完了、という話ではないことです。

資料では、殺虫剤を散布しない場合、細菌防除剤の効果が十分に得られない可能性も示唆されています。

ネギアザミウマの食害痕が多ければ、病原細菌の侵入口が増える可能性があります。
入口が増えた状態で薬剤だけに頼るのは、なかなか厳しいものがあります。

そのため、次のように組み合わせて対策することが大切です。

  • ネギアザミウマなどの虫害を抑える
  • 登録のある細菌性病害対策薬剤を確認する
  • 排水を改善し、過湿を避ける
  • 収穫時や管理作業で傷を減らす
  • 収穫後の乾燥をしっかり行う
  • 腐敗球を早めに取り除く

農薬使用時の注意

農薬を使用する場合は、必ず最新の農薬登録内容を確認してください。作物名、適用病害虫、希釈倍率、使用時期、使用回数、収穫前日数を守って使用してください。

地域や作型によって発生状況は異なるため、地域の病害虫防除所、JA、農業指導機関の情報も確認してください。

対策3 高温・多湿・傷を減らす管理をする

軟腐病やりん片腐敗病は、薬剤だけで完全に防げるものではありません。

細菌性病害は、傷口や水分の多い環境が重なると入りやすくなります。
そのため、圃場管理と収穫後管理も重要です。

圃場で意識したい管理

  • 排水不良の場所で停滞水を作らない
  • 雨後に圃場の低い部分を確認する
  • 風通しが悪い場所を把握しておく
  • 倒伏後に長く湿った状態を作らない
  • 虫害が多い場所を重点的に見る

収穫前後で意識したい管理

  • 収穫時に球へ傷をつけない
  • 高温下で収穫物を長時間放置しない
  • 収穫後は風通しよく乾燥させる
  • 腐敗球や傷の多い球は早めに分ける
  • 貯蔵前に状態を確認する

家庭菜園では、収穫後にすぐ袋へ入れたり、湿ったまま密閉したりしないことも大切です。

風通しのよい日陰で乾かし、傷んだ球は早めに取り除きましょう。
1個の腐敗球を放置すると、周りにも影響することがあります。

圃場で見るべきチェックポイント

7月以降は、次のようなポイントを確認しておくと、腐敗リスクに早く気づきやすくなります。

  • 心葉が軟らかくなっていないか
  • 株元や球に水浸状の症状がないか
  • 腐敗臭がないか
  • 葉にネギアザミウマのカスリ状被害がないか
  • 中心部にネギアザミウマがいないか
  • 雨後や高温後に急に傷みが進んでいないか
  • 倒伏後に長く湿った状態になっていないか
  • 収穫時に外観が正常でも、内部腐敗がないか

特に注意したいのは、外から見ると問題なさそうに見える球です。

軟腐病もりん片腐敗病も、外観だけでは判断しにくい場合があります。
気になる株や球があれば、切断して内部を確認することも必要です。

農家と家庭菜園で考え方は少し違う

農家の場合は、腐敗球が増えると収量だけでなく、
選別、出荷、貯蔵、クレームにも関わります。

そのため、ネギアザミウマ防除、細菌性病害対策、収穫後乾燥、
貯蔵管理までを一連の流れで考える必要があります。

一方、家庭菜園の場合は、薬剤の選択肢が限られることもあります。
その場合は、まず観察、被害葉や腐敗球の除去、風通し、乾燥、過湿回避を意識しましょう。

どちらにも共通するのは、腐ってから慌てるより、腐りやすい条件を減らすことです。

まとめ 玉ねぎの腐敗対策は病気と虫をセットで見る

7月以降の玉ねぎでは、軟腐病やりん片腐敗病などの腐敗性病害に注意が必要です。

特に今年のように、雨があり、高温が続く条件では、細菌性病害のリスクが高まりやすくなります。

  • 軟腐病は、内部が軟化腐敗し、強い腐敗臭を出すことがある
  • りん片腐敗病は、りん片1枚から数枚が黄褐色に腐敗する
  • どちらも細菌性病害で、傷口や高温多湿に注意が必要
  • ネギアザミウマの食害痕が細菌の侵入口になる可能性がある
  • 殺虫剤防除も腐敗対策の一部として考える
  • 細菌性病害対策薬剤、虫害防除、排水、収穫後管理を組み合わせることが大切

玉ねぎの腐敗対策は、病気だけを見ても不十分です。

高温、雨、湿度、傷、虫害、収穫後の乾燥。このあたりをまとめて見ていくことで、
腐敗リスクを下げやすくなります。

葉の被害だから大丈夫、外から見えるから大丈夫、去年大丈夫だったから今年も大丈夫。こういう油断が、だいたい後で玉ねぎに裏切られます。

7月以降は、軟腐病・りん片腐敗病・ネギアザミウマをセットで確認し、早めの対策につなげていきましょう。

皆さんで美味しい作物を作りましょう!

参考資料

  • 新・北海道の病害虫ハンドブック全書 
  • ネギアザミウマ防除によるりん茎の腐敗抑制と収量増加 岩手県農業研究センター
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