6月上旬ごろになると玉葱も様子が変わってきますね。
こんにちはチーパパです。
葉が黄化したり、色抜けが出てくると、
不安になりますよね。
「除草剤の薬害なのか?」
「微量要素の欠乏なのか?」
「それとも天候や根傷みの影響なのか?」
ただし、葉が黄色いというだけで原因を決めつけるのは危険です。
玉ねぎの葉色異常は、除草剤、要素欠乏、根傷み、低温、乾燥、過湿、散水ムラなど、
いくつもの要因が重なって出ることがあります。
この記事では、6月上旬の玉ねぎで葉が縦に黄化したときに、除草剤薬害なのか、要素欠乏なのかを現場で見分ける判断ポイントを整理します。
6月上旬の玉ねぎで見られる「縦の黄化」とは
6月上旬の玉ねぎで、葉に縦方向の黄化や色抜けが見られる状態です。
一口に黄化といっても、症状の出方はいろいろあります。
- 葉全体が淡く黄色くなる
- 葉の一部だけ縦に色が抜ける
- 葉脈に沿うように黄色く見える
- 新葉に出ている
- 中位葉や古い葉に出ている
- 黄化だけでなく、葉の曲がりや生育抑制もある
ここで大事なのは、葉の色だけで判断しないことです。
葉に出ている症状は、あくまで結果です。原因を見るには、散布履歴、天候、散水条件、圃場内での発生位置、根の状態まで確認する必要があります。

まず確認したい6つのポイント
6月上旬の玉ねぎで葉の黄化が見られたときは、次の6つを確認します。
- 症状が圃場全体に均一に出ているか
- 散布の重複部分、旋回部分、畦際に強く出ていないか
- 除草剤散布後に強い雨や過剰な散水がなかったか
- 風の影響で散水量が多くかかった場所と症状が一致していないか
- 根が傷んでいないか、湿害・乾燥・根張り不良がないか
- 土壌pH、石灰資材、微量要素の不足や吸収阻害の可能性はないか
そして何葉にその症状があって、その時何をしたかの確認が必要となります。
今回は4葉、5葉に症状がありました。
除草剤薬害を疑うパターン
除草剤薬害を疑うときは、まず症状の出方を見ます。
薬害の場合、圃場全体に均一に出るというより、
散布や水の動きと関係する場所に強く出ることがあります。
薬害を疑いやすい症状の出方
- 散布ムラの形で症状が出ている
- ブームの重なり部分に症状が強い
- 旋回部分や畦際だけ強く出ている
- 散布後すぐ、または数日後から症状が目立ち始めた
- 散布後に多量の雨、または多量の散水があった
- 散水が多くかかった場所、風下側、水がたまった場所に症状が強い
- 葉の黄化だけでなく、葉の湾曲、白化、葉折れ、生育抑制がある
除草剤の薬害は、症状だけを見るよりも、どこに出ているかを見る方が判断しやすいです。
散布の重複部分や水が集まりやすい場所に症状が集中していれば、薬剤の影響を疑う材料になります。
モーティブ乳剤で考えるべきこと
モーティブ乳剤は、ジメテナミドPとペンディメタリンを含む土壌処理型の除草剤です。
BASFの製品情報では、モーティブ乳剤はたまねぎ、ばれいしょ、とうもろこし、だいずなどに登録があり、2つの有効成分によって幅広い雑草に効果を示し、
土壌処理で長期間効果が持続する薬剤とされています。
たまねぎでは、雑草発生前の土壌処理として使用されます。
適用表では、たまねぎの使用時期として定植前の雑草発生前、
または定植後の雑草発生前で定植45日後までが示されています。
農薬登録上は基本的に10aあたりの薬量と散布水量で確認することが大切です。
モーティブ乳剤の場合、たまねぎでは薬量300mL/10a、散布水量100L/10aという形で確認します。
モーティブ乳剤は登録のある除草剤ですが、だからといって、どんな条件でも薬害が出ないという意味ではありません。
土壌処理剤では、以下の条件で作物への影響が出やすくなる可能性があります。
- 散布ムラ
- 重複散布
- 散布直後の多量降雨
- 過剰な散水
- 排水不良
- 砂質土など薬剤が動きやすい土壌
- 根張りが弱い状態
モーティブ乳剤の散布液に苗を浸漬したあと定植した試験で、
タマネギの肥大に影響は認められなかった例があり、
通常の条件では比較的使いやすい薬剤と考えられますが、
現場では散布後の水分条件や土壌条件が重なるため、
薬害の可能性を完全に否定することはできません。
モーティブの処理層が下がった可能性
今回のように、モーティブ乳剤を土壌処理したあとに雨が少なく、散水を行っていた場合は、散水条件を必ず確認したいところです。
モーティブ乳剤のような土壌処理型除草剤は、土壌表面付近に処理層を作り、発生してくる雑草に作用します。
しかし、散布後の水の動きによって処理層が下方向へ移動すると、玉ねぎの根に近い部分まで薬剤成分が移動する可能性があります。
今回考えられる流れは、次のようなものです。
- モーティブ乳剤を土壌処理した
- 散布後、雨が少なかったため散水を行った
- 風の影響などで、想定より多く散水がかかった場所があった
- 水量が多くなった部分で、土壌表面の処理層が下方向へ動いた
- 処理層が玉ねぎの根の近くまで下がり、根から薬剤の影響を受けた可能性がある
この場合、症状は圃場全体に均一に出るというより、散水が多くかかった場所、風下側、水が流れ込んだ場所、排水が悪く水がたまりやすい場所などに強く出やすくなります。
特に6月上旬の玉ねぎ(6葉くらい)は、まだ根量も発達途中です。
そのため、葉の縦黄化が見られる場合は、葉だけを見るのではなく、症状の出ている場所と散水ムラ・水の流れ・排水条件が一致していないかを確認することが大切です。
要素欠乏を疑うパターン
一方で、葉の黄化がすべて除草剤薬害とは限りません。
微量要素の欠乏や吸収阻害でも、玉ねぎの葉に黄化や色抜けのような症状が出ることがあります。
微量要素には、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ホウ素、モリブデンなどがあります。必要量は少ないものの、光合成、呼吸、酵素反応、窒素代謝などに関わるため、不足すると葉色や生育に影響が出ます。
特に注意したいのは、土壌中に成分がない場合だけでなく、あっても吸えない場合があるということです。
要素欠乏を疑いやすい条件
- 圃場全体にじわっと症状が出ている
- 散布ムラや散水ムラと関係なく発生している
- 低温、乾燥、過湿のあとに出ている
- 根張りが弱い、根が少ない
- 土壌pHが高い
- 石灰資材を多く入れている
- マンガン、亜鉛、鉄などの微量要素が吸収されにくい条件がある
- 葉脈間の黄化、若い葉の黄化、全体の淡色化が見られる
土壌pHが高くなると、マンガン、亜鉛、銅などの吸収が低下しやすいです。
また、低温や乾燥、過湿、根傷みによって根の働きが落ちると、
土壌中に養分があっても吸収できず、要素欠乏のような症状が出ることがあります。
つまり、黄化が見られたからといって、
すぐに「肥料が足りない」と判断するのも危険です。
原因が根傷みや土壌条件にある場合、単純に肥料や液肥を足しても、
期待したほど改善しないことがあります。
葉で特に見たいところ
6葉〜7葉くらいまで生育していた玉葱。
チェック項目は、、、
- 黄化している葉が新葉なのか、中位葉なのか
- 葉先から黄化しているのか、葉の中央部に縦筋のように出ているのか
- 葉脈に沿っているのか、葉脈間が抜けているのか
- 白っぽい色抜けなのか、黄色っぽい退色なのか
- 葉の湾曲やねじれがあるか
- 株元や茎盤部に異常がないか
- 根が白く伸びているか、褐変していないか
- 新しく出てくる葉が正常か
新しく出てくる葉が正常であれば、一時的なストレスで止まる可能性もあります。
反対に、新葉まで黄化が広がる、株全体の伸びが止まる、根が褐変している場合は、
追加の確認が必要です。

※まだ健全な根が多い感じか、、、
薬害と要素欠乏の見分け方
薬害と要素欠乏を見分けるときは、症状そのものよりも、発生の位置と条件を見ます。
| 確認項目 | 除草剤薬害を疑う場合 | 要素欠乏を疑う場合 |
|---|---|---|
| 発生位置 | 散布重複部、旋回部、畦際、風下側、水が多くかかった場所に強い | 圃場全体、または土壌条件が似た場所にじわっと出る |
| 発生時期 | 散布後、数日からしばらくして目立つ | 低温、乾燥、過湿、根傷みのあとに目立つことがある |
| 葉の症状 | 黄化、白化、湾曲、葉折れ、生育抑制などが出ることがある | 葉脈間の黄化、全体の淡色化、新葉の黄化などが出ることがある |
| 根の状態 | 薬剤影響や過湿が重なると根張りが弱くなることがある | 根量不足、根傷み、根の褐変があると吸収不良につながる |
| 土壌条件 | 軽い土、水が動きやすい土、排水不良、散水過多でリスクが上がる | 高pH、石灰過多、低温、乾燥、過湿で吸収阻害が起こりやすい |
今回のような条件で疑いたい流れ
今回の条件では、6葉〜7葉まで生育していた玉葱の、
4葉〜5葉が黄化していました。
そこから考えてみると、、、、
4葉〜5葉頃は、、ちょうどモーティブを散布してすこし日数がたったのち、
散水を行っていた時期に近い、、、
さらに、風の影響で想定より多く散水がかかった場所がある場合、
次のような可能性を考えます。
- モーティブの処理層が水で下がった
- 玉ねぎの根の近くに薬剤成分が移動した
- 根が一時的に影響を受けた
- その結果、葉の縦黄化や生育抑制のような症状が出た
この場合は、次の場所を重点的に見ます。
- 散水が強くかかった場所
- 風下側
- 水が流れ込んだ場所
- 排水が悪く水が残りやすい場所
- 散布が重なった可能性がある場所
- 土が軽く、薬剤が動きやすい場所
これらの場所と症状の出方が一致するなら、モーティブの処理層が下がったことによる薬害の可能性は考える価値があります。
ただし、断定はできません。
要素欠乏、根傷み、低温、過湿なども同時に起きている可能性があるからです。
対応策:まずは記録と比較
葉色異常を見つけたときに、すぐ何かを散布したくなる気持ちは分かります。
ただ、原因が分からないまま液肥や微量要素資材を入れると、
効果が分からないまま終わることがあります。
まずは、次の確認を行います。
- 症状株の写真を残す
- 圃場全体の写真を残す
- 症状が強い場所と弱い場所を比較する
- 散布重複部分を確認する
- 散水が多くかかった場所を確認する
- 風向きと散水ムラを確認する
- 根を掘って、白い根が出ているか確認する
- 新葉が正常に伸びるか数日観察する
- 土壌pH、EC、微量要素分析を検討する
特に大事なのは、正常株と症状株を比べることです。
症状株だけを見ていると、何でも異常に見えます。比較対象がない診断は、だいたい迷子になります。
液肥や微量要素資材を使う場合の考え方
葉が黄化していると、液肥や微量要素資材で回復させたいと考える場面もあります。
ただし、黄化がすべて液肥で治るわけではありません。
液肥や微量要素資材は、根傷みや一時的な吸収不良時の補助として使える場合がありますが、原因が除草剤薬害や過湿による根傷みであれば、まずは根の回復や新葉の伸びを見ることが大切です。
葉面散布を行う場合は、次の点に注意します。
- 高温時の散布を避ける
- 混用可否を確認する
- 症状の原因を決めつけず、補助的に使う
- 一部で試してから広げる
マンガン、亜鉛、鉄、苦土などの微量要素を含む液肥や葉面散布資材は、
吸収不良時の補助として選択肢になります。
ただし、薬害なのか欠乏なのか分からない状態で次々と資材を入れると、
原因がさらに見えにくくなります。
除草剤を使うときに改めて注意したいこと
除草剤は「何を使うか」だけでなく、
いつ、どの条件で、どれだけの水量で使うかが重要です。
特に土壌処理剤では、散布後の水分条件も見逃せません。
- 登録内容を確認する
- 使用時期を守る
- 薬量と散布水量を守る
- 散布ムラを避ける
- 重複散布を避ける
- 散布後の強い雨や過剰散水に注意する
- 排水不良の場所では特に注意する
農薬は必ず最新の登録内容とラベルを確認して使用してください。
判断チェックリスト
| 現場で見るポイント | 疑う原因 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 散布後すぐ、散布重複部に強い | 除草剤薬害の可能性 | 散布日、薬量、水量、ブームの重なり、旋回部分を確認 |
| 散水が多くかかった場所に強い | 処理層が下がった薬害の可能性 | 散水量、風向き、風下側、水の流れを確認 |
| 水がたまる場所に強い | 薬剤移動、過湿、根傷みの可能性 | 排水性、土壌水分、根の褐変を確認 |
| 圃場全体に均一に出る | 要素欠乏、低温、乾燥、根張り不良の可能性 | 土壌pH、EC、根張り、天候経過を確認 |
| 高pH、石灰資材が多い | 微量要素の吸収阻害の可能性 | マンガン、亜鉛、鉄、銅などの分析を検討 |
| 新葉まで黄化が広がる | 根傷み、欠乏、病害など追加調査が必要 | 根、株元、病斑、土壌条件を確認 |
| 新葉が正常に伸びる | 一時的なストレスの可能性 | 数日後の新葉、葉色、生育回復を確認 |
まとめ
6月上旬の玉ねぎで、4葉目・5葉目あたりに縦方向の黄化が見られると、除草剤薬害なのか、要素欠乏なのか判断に迷います。
モーティブ乳剤を散布している場合、散布ムラや重複散布だけでなく、散布後の水の動きも確認したいポイントです。
特に、雨が少なく散水を行い、風の影響で一部に多く水がかかった場合は、モーティブの処理層が下がり、玉ねぎの根に影響した可能性も考えられます。
一方で、土壌pHが高い、根張りが弱い、低温や過湿があった場合は、微量要素の吸収阻害や根傷みによる黄化も疑う必要があります。
大切なのは、葉だけで決めつけないことです。
圃場全体の出方、散布履歴、散水ムラ、風向き、水の流れ、根の状態、土壌条件を合わせて見ていくことで、原因に近づきやすくなります。
症状が強い場合や判断に迷う場合は、農協、普及センター、メーカー、指導機関に相談しながら確認するのが安全です。
農薬は必ず最新の登録内容、ラベル、地域の防除基準を確認して使用してください。
参考資料
- BASF「モーティブ乳剤」製品情報
- 農薬適用表「モーティブ乳剤」
- 添付資料「玉葱除草」除草剤の効果と薬害写真例
- 添付資料「微量要素」微量要素欠乏と土壌pHの関係
※この記事は現場判断の参考であり、症状の確定診断ではありません。
