北海道でシロイチモジヨトウが今年も確認!フェロモントラップ情報と防除の考え方

てんさい
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こんにちは、チーパパです。

昨年、北海道のてんさい栽培で急に話題になった害虫がシロイチモジヨトウです。

もともと北海道では、シロイチモジヨトウは飛来性の害虫で、基本的には越冬しにくいと考えられてきました。

そのため、北海道では毎年必ず問題になる害虫というより、条件がそろった年に急に目立つ害虫という印象が強かったと思います。

ただ、今年も北海道内のフェロモントラップで誘殺が確認されています。

まだ大発生と決めつける段階ではありません。

ただし、初誘殺が確認された以上、今年も早めに圃場を見ておく価値は十分あります。

今回は、今年のフェロモントラップ誘殺状況を見ながら、てんさい・玉ねぎ・長ねぎ・豆類で注意したいポイントと、防除薬剤の考え方を整理していきます。

シロイチモジヨトウとはどんな害虫か

シロイチモジヨトウは、チョウ目ヤガ科の害虫です。

被害を出すのは成虫ではなく、葉を食べる幼虫です。

若齢幼虫のうちは集団で葉を食害することがあり、見つけるのが遅れると短期間で食害が広がることがあります。

  • 幼虫が葉を食害する
  • 若齢幼虫は集団で食害することがある
  • 大きくなると葉の奥や株元に隠れやすい
  • 幼虫が大きくなるほど薬剤が効きにくくなる
  • 薬剤抵抗性が問題になりやすい

つまり、見つけた時にはもう大きくなっていて、薬剤をかけても効きが悪いという厄介なパターンになりやすい害虫です。

今年の北海道でのフェロモントラップ誘殺状況

令和8年の北海道内フェロモントラップ調査では、シロイチモジヨトウの誘殺が一部地域で確認されています。

地点 初誘殺日 状況
長沼 5月7日 誘殺確認
比布 5月11日 誘殺確認
北斗 5月7日 誘殺確認
芽室 未確認 6月12日時点
訓子府 未確認 6月12日時点

フェロモントラップにかかったからといって、すぐに大発生するわけではありません。

ただ、成虫が確認されたということは、今後の産卵や幼虫発生につながる可能性があります。

誘殺情報は、慌てるための情報ではなく、圃場を見始める合図として捉えるのがよいと思います。


飛来性なのに、なぜ毎年注意が必要なのか

シロイチモジヨトウは、北海道では越冬しない、または越冬しにくいと考えられてきた害虫です。

それなら今年は関係ないのではと思いたくなります。

ただ、飛来性害虫は、風や気象条件によって毎年入ってくる可能性があります。

  • 本州などの発生状況
  • 風向き
  • 気温
  • その後の天候
  • 圃場周辺の作物

こういった条件が重なると、北海道でも急に発生が目立つことがあります。

近年は高温傾向もあり、今まで北海道ではそこまで気にしていなかった害虫が、急に話題になることも増えています。

北海道だから大丈夫、とは言い切れない害虫になってきていると感じます。

てんさいで注意したいポイント

てんさいでは、葉を食害されることで光合成量が落ちます。

特に生育後半に葉を大きく食べられると、根重や糖分への影響も心配になります。

シロイチモジヨトウは、ヨトウガやシロオビノメイガなど、
他のチョウ目害虫と時期が重なることもあります。
(去年シロオビのメイガも多かったですよね)

そのため、単純に葉が食べられているだけで判断せず、できれば幼虫の姿や食害の出方を確認したいところです。

てんさいで見たい場所

  • 葉の裏
  • 葉の重なった部分
  • 株元に近い葉
  • 虫ふんの有無
  • 若齢幼虫の集団食害

大きくなった幼虫は、日中は隠れていることがあります。

食害痕だけでなく、虫ふんや葉裏もセットで見るのが大切です。

玉ねぎ・長ねぎなどネギ類でも注意したい

シロイチモジヨトウは、てんさいだけの害虫ではありません。

本州では、ねぎ、たまねぎ、にらなどのネギ属作物でも被害が確認されています。

特にネギ類では、幼虫が葉の中に入り込むように食害することがあります。

外から見ただけでは分かりにくく、防除が遅れやすいのが面倒なところです。

ネギ類で見たい症状

  • 葉が白く透けたように見える
  • 葉の中が食べられている
  • 葉が折れる
  • 葉の中や株元に虫ふんがある
  • アザミウマやハモグリバエとは違う大きめの食害がある

玉ねぎでは、6月以降になるとアザミウマやハモグリバエの確認も必要になります。

そこにシロイチモジヨトウまで絡んでくると、葉を見る目がさらに忙しくなります。

ただ、早く見つけられれば対策の幅は広がります。

玉ねぎや長ねぎでも、葉の白抜け、虫ふん、葉の中の食害は意識して確認したいポイントです。

豆類でも注意したい理由

シロイチモジヨトウは広食性の害虫です。

広食性とは、いろいろな作物を食べる性質のことです。

本州では、大豆などの豆類でも発生が問題になることがあります。

北海道でも、てんさいで確認されたからてんさいだけ見ればよい、とは言い切れません。

  • 大豆
  • 小豆
  • いんげん
  • その他の豆類

こういった作物でも、葉の食害には注意しておきたいところです。

ただし、豆類ではハスモンヨトウ、ツメクサガ、マメシンクイガなど、他の害虫と見間違えることもあります。

薬剤を選ぶ前に、まず何の害虫なのかを確認することが大切です。

防除で大事なのは若齢幼虫のうちに見つけること

シロイチモジヨトウ防除で一番大事なのは、若齢幼虫のうちに見つけることです。

幼虫が小さいうちは薬剤も効きやすく、防除のタイミングも取りやすくなります。

逆に、幼虫が大きくなってからでは、食害も進み、薬剤の効きも落ちやすくなります。

圃場確認のポイント

  • フェロモントラップ情報を確認する
  • 葉裏や葉の重なりを確認する
  • 食害痕だけでなく虫ふんも見る
  • 若齢幼虫の集団食害を探す
  • 見つけたら作物登録のある薬剤を確認する

大発生してから慌てるより、初期のうちに小さな食害を見つける方が被害は抑えやすいです。

薬剤選びではIRACコードを意識する

シロイチモジヨトウは、薬剤抵抗性が問題になりやすい害虫です。

そのため、同じ系統の薬剤を続けて使うのは避けたいところです。

そこで意識したいのがIRACコードです。

IRACコードとは、殺虫剤の作用機構をグループ分けしたものです。

簡単に言えば、どのような仕組みで虫に効く薬剤なのかを分けた番号です。

同じIRACコードの薬剤ばかりを続けて使うと、効きにくい虫を残しやすくなります。

薬剤は効くかどうかだけでなく、どの系統をどう組み合わせるかが大事です。

シロイチモジヨトウ対策で候補になる薬剤

ここからは、昨年の記事でも紹介した薬剤を中心に、今年の防除で候補として知っておきたい薬剤を整理します。

ただし、農薬登録は変更されることがあります。

使用前には必ず、最新の農薬登録情報・ラベル・地域の防除指針を確認してください。

作物名、適用害虫名、希釈倍数、使用時期、使用回数を確認せずに使うのは危険です。

ブロフレアSC

ブロフレアSCは、ブロフラニリドを有効成分とする殺虫剤です。

IRACコードはグループ30です。

チョウ目害虫対策の選択肢として注目される薬剤で、昨年の記事でも軸の一つとして紹介しました。

  • IRACグループ30
  • チョウ目害虫対策で候補になる
  • 既存剤と異なる作用機構として使い分けしやすい
  • てんさいではヨトウムシ、シロオビノメイガなどの登録を確認
  • ねぎではシロイチモジヨトウ登録を確認

てんさいで使う場合は、シロイチモジヨトウという害虫名で登録があるか、ヨトウムシ類としての扱いになるかなど、必ず最新登録を確認してください。

登録作物と適用害虫名の確認は必須です。

ディアナSC

ディアナSCは、スピネトラムを有効成分とするスピノシン系の殺虫剤です。

IRACコードはグループ5です。

チョウ目害虫だけでなく、アザミウマ類やハモグリバエ類も意識される場面があるため、玉ねぎやねぎ類では名前を聞くことが多い薬剤だと思います。

  • IRACグループ5
  • スピノシン系殺虫剤
  • たまねぎ、葉たまねぎ、ねぎでシロイチモジヨトウ登録を確認
  • アザミウマ類やハモグリバエ類も絡む作物で候補になりやすい

玉ねぎや長ねぎでシロイチモジヨトウを意識する場合、ディアナSCは候補として確認しておきたい薬剤です。

ただし、使用できるかどうかは作物名と適用害虫名で決まります。

たまねぎ、葉たまねぎ、ねぎでは登録内容が異なる場合があるため、必ずラベルで確認してください。

ファルコンフロアブル

ファルコンフロアブルは、メトキシフェノジドを有効成分とするIGR系の殺虫剤です。

IGRとは、昆虫成長制御剤のことです。

ざっくり言うと、幼虫の成長や脱皮に関わる仕組みに作用する薬剤です。

  • IRACグループ18
  • IGR系殺虫剤
  • 若齢幼虫の時期を意識したい薬剤
  • ねぎではシロイチモジヨトウ登録を確認
  • てんさいではヨトウムシ登録を確認

ファルコンは、大きくなった幼虫に一発で効かせるというより、発生初期や若齢幼虫の段階で使い方を考えたい薬剤です。

使うタイミングが遅れると、思ったほど効かないと感じる場面も出やすいので、圃場確認とセットで考えたいところです。

グレーシア乳剤

グレーシア乳剤は、玉ねぎ防除の中で名前が出やすい薬剤です。

玉ねぎでは、アザミウマ類やハモグリバエ類などを意識して使われる場面があります。

グレーシア乳剤をシロイチモジヨトウ目的で使えるかどうかは、作物名と適用害虫名を最新登録で確認してください。

使う前に、必ずラベルと農薬登録情報を確認してください。

薬剤ローテーションの考え方

シロイチモジヨトウ対策では、同じ系統の連用を避けることが大切です。

例えば、チョウ目害虫に効く薬剤を選ぶ場合でも、IRACコードが同じものばかりを続けて使うと、抵抗性のリスクが高まります。

薬剤名 IRACコード 考え方
ブロフレアSC 30 作用機構を変えたい場面で候補
ディアナSC 5 ネギ類のシロイチモジヨトウやアザミウマ類も意識
ファルコンフロアブル 18 若齢幼虫、発生初期を意識
グレーシア乳剤 30 玉ねぎでは登録害虫を必ず確認

ここで注意したいのは、ブロフレアSCとグレーシア乳剤は同じIRACグループ30に分類される点です。

どちらも使える場面があるとしても、連続使用は避け、ローテーション全体で考える必要があります。

薬剤名だけで考えると別物に見えますが、作用機構で見ると同じグループということがあります。

今年の確認で意識したいこと

今年はすでにフェロモントラップで誘殺が確認されています。

だからといって、すべての圃場で防除が必要というわけではありません。

大切なのは、予察情報と圃場観察を組み合わせることです。

  • 地域の誘殺情報を確認する
  • 自分の圃場で食害があるか見る
  • 幼虫の大きさを確認する
  • 作物ごとに登録薬剤を確認する
  • 同じ系統の連用を避ける

フェロモントラップは、あくまで成虫の発生を知るための情報です。

実際に防除するかどうかは、圃場で幼虫や食害を確認して判断する必要があります。

まとめ

シロイチモジヨトウは、北海道では飛来性害虫として扱われ、越冬しにくいと考えられてきました。

しかし、今年も北海道内のフェロモントラップで誘殺が確認されています。

まだ大発生と決まったわけではありません。

ただし、昨年発生が話題になったことを考えると、今年も早めに意識しておく価値はあります。

  • 今年も北海道でシロイチモジヨトウの誘殺が確認されている
  • てんさいだけでなく、玉ねぎ・長ねぎ・豆類でも注意したい
  • 若齢幼虫のうちに見つけることが防除のポイント
  • 薬剤は作物名と適用害虫名を必ず確認する
  • IRACコードを意識して同じ系統の連用を避ける

シロイチモジヨトウは、見つけるのが遅れると防除が難しくなる害虫です。

今年は、フェロモントラップ情報をきっかけに、てんさい・玉ねぎ・長ねぎ・豆類の圃場を少し早めに見ておきたいところです。

大発生してから慌てるより、早めに見つけて、登録のある薬剤を正しく選ぶ。

結局、これが一番現実的なシロイチモジヨトウ対策だと思います。

参考資料

本記事では、北海道病害虫防除所が公表しているフェロモントラップ調査情報を参考にしました。

  • 北海道病害虫防除所「シロイチモジヨトウ フェロモントラップ誘殺状況」
  • 北海道立総合研究機構 農業研究本部「北海道病害虫防除所」
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